20代の若手ならまだしも、地位も実績もある大人が仕事でG-SHOCKをつけるのはどうかと考える向きもいるだろう。しかし近頃のG-SHOCKは、性能面はもちろん、デザインや素材も格段の進化を遂げ、驚くほど上質なオーラを纏う。ゆえに軽装となる夏場は、カジュアルな装いが許容されるシーンであれば、むしろ大人の余裕を示す絶好のツールとなってくれるのだ。
モジュールの大幅な小型化により、ケース全体を従来モデルの約90%のサイズに縮小した新作。それでいて世界6局の標準電場に対応するマルチバンド6やタフソーラー、フルオートダブルLEDライトなど多彩な機能はそのまま。もちろんG-STEELシリーズの特徴であるレイヤーガード構造も踏襲している。全幅49.3mm。厚さ15.3mm。樹脂&SSケース。ソフトウレタンバンド。クォーツ。3万5000円
その贅沢な作りによりもとから大人の外し時計に好適なG-STEEL。新たに登場したミドルサイズは大幅なサイズダウンにより袖口での収まりがよく、ジャケットスタイルとの相性が一層向上している。
大人のお洒落には、ときにウィットが必要だ。もちろん正統的ルールは重んじるべきだが、あまりそこに囚われすぎていると退屈なスタイリングとなってしまう。崩しや外しのテクニックを取り入れ、程よくヌケ感を演出したほうが、男としての深みや面白みが醸し出せ、むしろ知性さえ感じさせることもあると知っておきたい。
ではビジネススタイルではどこでその抜け感を演出すればよいのか。Vゾーンや足元でもそれは可能だが、もっとも簡単なのは時計だ。最近はスーツにダイバーズなどのスポーツウォッチを合わせることは一般的となっているが、さらに洒脱なセンスをアピールしたいのならG-SHOCKという選択は、面白い。とくにクールビズの季節は、装いの寂しさを補う意味でもG-SHOCKのインパクトあるデザインが効くはず。もちろんそのタフな設計が、高温多湿でときにゲリラ豪雨にも見舞われる日本の夏にうってつけなのは言わずもがなだ。
もっとも装いの外しとはいえ、一定のプレステージ性は備えていてほしいもの。そこでおすすめなのが「G-STEEL」だ。2015年にデビューした同シリーズはメタルと樹脂の異素材をミックスした独特の“レイヤーガード構造”や、圧倒的な立体感を放つフェイスの造形により、見た目にも高級感を備えている。新作として、より袖口での収まりがよい“ミドルサイズ”が登場したのも嬉しいところだ。こういうモデルを仕事で、TPOに気を配りつつサラリと着用していれば、大人の余裕が自然と生まれるだろう。
G-STEELのレイヤーガード構造は、ベゼル上部が樹脂×下層がファインレジンと、上部がメタル×下層が樹脂の2パターンあるが、こちらは後者。メタルのソリッドさがダイナミックな造形を引き立て、よりシャープでクールなスポーツウォッチ然とした佇まいに。シリーズ中最も人気が高いというのも納得だ。全幅52.4mm。厚さ16.1mm。樹脂&SSケース。ソフトウレタンバンド。クォーツ。4万円
フルサイズのG-STEELはデニムやシャンブレーといったややカジュアルな趣のあるシャツと最高にバランス。内勤の人、あるいは服装の自由度の高い仕事の方ならこんな袖口コーデがおすすめだ。
カシオのブランドカラーであるブラックをテーマに、ケースにIP処理を施したほか、細部もマットブラックで統一したモデル。フルサイズながら、時計全体がぐっと引き締まって見えるのがいい。モノトーンを印象付けるように時分針をホワイトとしたのもさすが。モードテイストな装いを好む人にも絶好だ。全幅52.4mm。厚さ16.1mm。樹脂&SSケース。ソフトウレタンバンド。クォーツ。4万円
左から、GST-W300-1AJF、GST-W1101AJF、GST-W100G-1BJF。多彩なバリエーションが揃うG-STEELは、カラーやサイズが異なることで印象もぐっと変わるので、店頭でぜひ実物を確認していただきたい。
撮影/島本一男 文/吉田 巌(十万馬力)