不変or進化、身につけたいスタイルとは?
装いにおける「王道」とは一体どのようなものなのだろうか。それは時代とともにどう変化するのか。ドレスクロージングの現場を長年見てきた30代〜60代の識者を集め、これからの王道的装いについて考えるクロストークを行なった。さて、その先に見えてきたものは?

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王道を見てきたこの4人で対談
黒部和夫さん(服飾評論家、カルロインターナショナル代表)
1958年生まれ。オンワード樫山でメンズ企画部門に長年携わったのち2014年に独立。愛称は”カルロ”。
池田哲也さん(服飾評論家)
1968年生まれ。三越の特選紳士服バイヤーとしてローマに駐在。服飾・経済・政治など様々な分野に精通。
鏡 陽介さん(日本橋三越本店 紳士パーソナライズマーチャンダイザー)
1979年生まれ。伊勢丹新宿店で鞄バイヤー、メイドトゥ メジャー バイヤーを務め、2018年より現職。
小曽根広光さん(エディター&本誌ファッション担当)
1984年生まれ。ドレスクロージングを専門分野として、様々な雑誌・WEBメディアで編集・執筆を担当。
着こなし方でコミュニケーションを取る姿勢が大事(池田さん)
池田 「王道」…改めて考えてみると、具体的に言い表すのは非常に難しいですね。
黒部 そうですね。「自分的な王道」ということならぼんやりと思い浮かびますが。
小曽根 どんなものですか?
黒部 私にとっては、やはり1980年代に火がついたブリティッシュ・アメリカンがひとつのルーツになっています。
鏡 アラン フラッサーやラルフローレンですね。
黒部 そう。米国人的感性で表現した英国スタイルですね。それまでブリティッシュというと、ガチガチの正統というイメージだったのですが、それとは一線を画すスタイルでした。
池田 私はいわゆるアメ横的なカジュアル服と、’90年代の三越時代に出会ったイタリアのテーラードがベースですね。どちらも私の中では時代を超えて愛せるスタイルになっています。
鏡 今、1980〜90年代に流行したスタイルのリバイバルが注目されていますが、だからといってそれらを「王道」と定義するのは早計だと思います。単純に今、リバイバルが”気分”なだけで、数年後にはまた旬を過ぎてしまいますからね。