京に根ざす和洋王道の味、その真髄

ほかにない味を求め、料理のためだけに京都を旅する美食家は少なくない。宮中や仏教ゆかりの料理をはじめ、長い歴史と古くからの文化によって育まれた京都の食文化は奥が深いと言うほかない。
また、伝統の一方で、新しいものに関心が高い気質の京都人は文明開化とともに洋食の文化も受け入れた。京都を代表する和と洋の2つの老舗から、世界に誇る京の味の真髄が垣間見えた。
400年の歴史の中で培ってきた伝統と革新の味
─ 瓢亭(ひょうてい)─

ジャケット30万6000円/サンモトヤマ(サンモトヤマ 銀座本店) ニット3万2000円/フェデッリ(エストネーション) シャツ2万円/ギ ローバー(バインド ピーアール)パンツ2万6000円/ジェルマーノ(ビームス 六本木ヒルズ)
京料理が総合芸術と言われる理由やいかに
京料理の真髄を語るうえで、南禅寺の瓢亭は欠くことのできない存在だ。15代目当主・髙橋義弘さんによれば瓢亭の基本は茶懐石にある。
かつて京都には天皇、公家、武士がいて、さまざまな食材が集まる場所でもあった。そんな京都で暮らす町衆の文化に精進や茶懐石なども取り込んで、集約したものが京料理で、当主曰く総合芸術なのだ。
京都の食の最高峰として400年続く瓢亭だが、すべてが昔のままかといえば、さにあらず。お造りに添える醤油や出汁の引き方も昔と全く同じではない。突飛な変化ではなく、いつのまにやら、くらいの緩やかな進化が京都流だそうだ。
京料理の真髄に深く迫りたいなら、400年の歴史を誇る瓢亭こそ、まっさきに訪れるべき場所なのだ。