
1940年代からのインスピレーション
旧友に再会したような気分になるクロノグラフが登場した。その時計を見ると、全く新しい時計であるのに、どこか懐かしい気がしてならないからだ。
それはブライトリングが2018年の発表した新作の「プレミエ」というシリーズのモデルで、なかでもブライトリング社が誇るB01クロノグラフムーブメントを搭載したフラッグシップモデルで、COSC認定のクロノメーター仕様の「プレミエ B01 クロノグラフ 42」という2つ目モデルが、大いに懐かしさを醸し出しているのである。

僕が時計というものの物神性に魅力を感じ、時計を集め始めた1970年代半ばに、初めて手に入れたクロノグラフが、ブライトリングの「トップタイム」というモデルだった。
その時代はまさにクオーツ時代の幕開けであり、もう機械式の優秀な複雑機能を持つ時計は作られないだろうと思われた時代だったから、どうにかしてクロノグラフを手に入れなければと、あちこちの時計店を訪ね歩いて、ようやく見つけ出したのだった。
それはステンレススティール製のケースをまとった、2つ目の30分カウンターを持つ、ホワイト文字盤のモデルで、その初めてのクロノグラフとの出会いが、大いなる喜びを与えてくれるものだったことを思い出す。
「プレミエ」の原型となったのは、1940年代前半から展開されていた同社のプレミエ・シリーズである。下のポスターにあるクロノグラフが製造されたのは、第二次世界大戦が終わり、世界に平和の時代が到来した1946年のことで、18Kゴールドやステンレスのケースバリエーションがあったようだ。1946年は僕が生まれた年だからもう70年以上の歴史を持つことになる。

新しい「プレミエ」はそのケース側面に三本のストライプ状のカットを施しているのが新しい。そしてサファイアクリスタルのトランスパレント・ケースバックにより、複雑なB01キャリバーを見ることができるので、よりクロノグラフというものを楽しむことができるだろう。

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ブライトリング プレミエ B01 クロノグラフ 42
ケース径:42mm
ケース素材:ステンレススティール
ベルト素材:クロコ
ムーブメント:自動巻き(キャリバー01)
価格:92万円(クロコストラップ仕様の場合)
発売時期:発売中
お問い合わせ先:
ブライトリング・ジャパン Tel.03-3436-0011
https://www.breitling.co.jp

松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。