2017年7月号

2017年7月号

2017年06月06日発売

100年愛せる時計の選び方

バーゼルワールド100周年という記念すべき年を祝うように、数多くの新作が登場した2017年。近年のトレンドである低価格・小径&薄型・”あっさり顔”の傾向が継続する中で、”スーツな男”が長く愛すべき本格時計はどれか?人気ブランドを価格帯で大きく2章に分けてご紹介しよう。

【第1章】人気ブランドの「リアルな価格帯 U10万円⇔U150万円」が熱い!

着実に進化し続ける実用腕時計の王様ROLEX(ロレックス)/写真右

「ますます魅力を増した伝説的ダイバーズ!」

サイクロップレンズの採用によって、カレンダー数字がとてもくっきりと見えるようになった、「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」は、グロス仕上げのブラック文字盤の精悍なモデルとなった。

シードゥエラーの歴史ももう50年という。これまでのモデルはケース径40mmだったが、今年のモデルは43mmと少し大きくなった。

また、かつて1950年代には、ロレックスオイスターにもムーンフェイズカレンダーモデルが存在したが、それを彷彿とさせるモデルが、今年、チェリーニのラインから登場した。三日月モチーフのセンター針で日付を、そして6時位置のインジケーターで、月の満ち欠けを読み取るカレンダー時計で、往年のオイスターに似たケース形状も好もしい。122年間、正確性を保つムーンフェイズ機構も優秀だ。(文/松山 猛)

マスターシリーズの原点が揃い踏み! OMEGA(オメガ)/写真左

「60年という歳月すらも新鮮に感じさせる3部作!」

今年のオメガは、スピードマスター、レイルマスター、シーマスター300を、「”オメガ 1957 トリロジー”60周年リミテッドエディション」として打ち出した。

ヴィンテージウォッチファンのみならず、昔の腕時計を知らない若い世代の人々にも、このトリロジーは新鮮なイメージで映るだろう。時計が実に時計らしかった時代の、堂々とした佇まいが漲るデザインだ。昔、シーマスターを手に入れた友人が、プールでも、シャワーでも、それを腕に着けたままだったのを思い出す。デザインにはヴィンテージ感があるが、そのスペックは最新の、スイス連邦計量・認定局(METAS)のお墨付き、コーアクシャル脱進機を持つムーブメントCal.8806であったり、伝統の手巻きキャリバーを備えたクロノグラフだと聞いて納得なのだ。(文/松山 猛)

日本のファンの声に応え伝統のベゼルが復活! BREITLING(ブライトリング)

「日本からのリクエストでツウ好みの仕様が実現!」

新生クロノマットが誕生したのは1984年のことだから、もう33年もの年月を刻んだということになる。そしてその最新形として、今年のバーゼルワールドで発表された「クロノマット JSP」は、ブラック、シルバー、ブルーの3色の文字盤色から選べる。個人的感想だが、なかでもシルバー文字盤のシックさが新鮮に思えた。伝統的なサテン仕上げのライダータブ付きベゼル44mmケースと、5連のステンレススティールブレスレットは、500m防水を誇るこの時計にとっては、最強の組み合わせと言えるだろう。

もう一つのトピックは、ナビタイマーに待望のスプリットセコンド機構を組み込んだ”ラトラパンテ”モデルが作られたことだろう。自社製キャリバー B03という新設計のムーブメントは、第3のボタンを竜頭に貫通させた本格派になっている。今年のブライトリングは戦略価格のお買い得揃いだ。(文/松山 猛)

【第2章】100年愛せる”素敵の時計”たち

バーゼル百周年を祝う

フランス、ドイツとスイスの三国の国境が接し、ライン河に面する都市バーゼルは、古い歴史を誇る街である。記録に残るところではなんと15世紀後半の1471年に、各国からの産物をトレードする市場の設置が認められたという。

おそらくその時代には、フランスからのワインや繊維製品、そしてドイツからの木工製品や鉄製農機具、スイスの農産品や毛皮などが取引されたものと思われる。

時は下り、スイスで時計産業が発展した20世紀の初めの1917年。復活祭の時期に開かれたスイス見本市のうち、時計や宝飾品を専門に扱う部門が、バーゼル新市街のシュヴァイツァー・ムスターメッセで開かれるようになり、今日のバーゼルワールドの原型となったのだった。

それまで、高級時計などを展示して世界の人々にアピールする方法は、例えば万国博覧会会場などに限られていたのだが、バーゼルメッセでは、それらを一堂に集め、世界からのバイヤーを招くようになったのだった。スイス時計の最高峰である時計会社、ジュネーブに本社工場を持つ、ヴァシュロン・コンスタンタン、そしてパテック フィリップ、ロレックス、ヴァレ・ド・ジューのオーデマ ピゲ、ジャガー・ルクルト、ビエンヌのオメガ、サンティミエのロンジン、ル・ロックルのユリス・ナルダン、ゼニスなどが参加し、またパリに本店を持つ宝飾商カルティエなどが参加する、世界一の時計宝飾フェアが生まれ、今年2017年、めでたくも百周年を迎えたのだった。 (文/松山 猛)

希少価値の高い限定モデルに魅了される! CHANEL(シャネル)/写真左

「美しさと創造性を見事に両立している!」

シャネルから今年の新作として発表されたのは、自社製キャリバーを積んだ、「ムッシュー ドゥ シャネル」。極上のブラックエナメル製ダイヤルがひと際目を引く。

リミテッド・エディションとして、わずか100ピースのみが作られるというから、コレクターズアイテム入りは確実だろう。6時位置の大きな窓で、ジャンピングアワーによる時間を読み取り、レトログラードする分針で分を読む。そして文字盤のほぼ中央に秒針がある、ある種のレギュレーター時計といえるだろう。サファイアクリスタルを用いたシースルーバックから、丁寧な仕上げがなされたムーブメントが堪能できるのもよいね。

「マドモアゼル J12」はマドモアゼル シャネルの腕が時分針となったJ12の新作だが、何とも愛嬌のある時計の登場だ。 (文/松山 猛)

機構も造形もひたすら独創的! ARNOLD & SON(アーノルド&サン)

「機能美を追求した革新的技術力を誇示!」

毎年興味深い機構の時計を発表し、メカニカルウォッチ・ファンを楽しませてくれるアーノルド&サン。

今年は2つのムーブメントを左右に並べた「DBGスケルトン」を中心に新作を発表してくれた。DBGのDBは、ダブル・バランスつまり2つのテンプを表し、GはGMTを表す。どちらかの文字盤をローカルタイムにし、もう一方をGMTのセコンドタイムゾーンに、それぞれの竜頭でセットするだけ。12時位置の小さなインジケーターは24時間計で、時計中央の秒針は、右側のムーブメントにより駆動する。旅を楽しむ人にとっては、これは使い勝手の良い、愛用時計となろう。

「トゥールビヨン クロノメーターNo.36」は、1778年にジョン・アーノルドが作った高精度ポケットウォッチにインスパイアされたもので、立体的な13のブリッジで固定されている。COSC認定の精度を持つ実力派だ。(文/松山 猛)

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