DIOR(ディオール)の「ディオール ノルマンディー」トートバッグ

時代を超える洗練の曲線美
バッグというものには、荷物を運ぶという機能以外に、装いを引き立て、自身のスタイルや個性、格を表現するなどさまざまな役割がある。個性の表現といっても、いい大人が主張の強いデザインを持つのは気おくれするし、格はあるけど滲み出る個性や洗練がないものでは、お洒落経験豊富な読者世代にはつまらない。そこが鞄選びの難しいところだが、このディオールの新作はその落としどころとしてズバリなのだ。
一見、普通のレザートートである。しかし実際に手にすると、すっきりとしたシルエットの中にディオールらしい“曲線が生み出すエレガンス”が垣間見える。「ディオール アイコンズ」と名付けられたグレインドレザーがその秘密で、独特の丸みは複雑ななめし工程を経て生まれる極上のしなやかさと柔らかさの賜物なのだ。
この革の特性を生かしたデザインは、もちろんキム・ジョーンズ氏。革新性と同時に、常にブランドの伝統を大切にしてきた氏ならではの作とも言えるのではないだろうか。そんな氏は2025年冬を最後にディオールから退く。天才と呼ばれる氏のデザインに出会えるのも残り僅かなだけに、手にできるチャンスを生かしたいものだ。
内部もシンプルかつタイムレス

最高級の革のしなやかさやパターンが生むフォルムの曲線で洗練を魅せるタイムレスなデザインは、あらゆるシーンで使いやすい。メイン荷室には上質なシェブロン柄(山形模様)のライニングが施され、ジップポケットとフラットポケットを装備する。同シリーズ名は、創設者クリスチャン・ディオール氏の生誕地、ノルマンディー地方に由来。ショルダーストラップ付き。ブラックほか、ベージュ、ブラウンの3色展開。
[MEN’S EX Spring 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み