日本全国 アートと自然を愛でる癒やしの絶景美術館
心地よい空間や美しい景色のもと、思い思いにアートと向かい合う。美術館を訪ねる目的はさまざまだが、非日常感を味わいながら、心を癒やし、明日への活力をチャージする場所として美術館を楽しんでいるかたも多いことだろう。本特集では展示作品はもちろんのこと、そのロケーションや建物も一体となってアートを堪能でき、心癒やされる美術館を全国各地で探した。ご紹介する美術館は季節を問わず、いつ訪ねても、その時ならではの魅力がある。「いつか訪ねたい場所」として、まずはこちらでの美術館散歩をお楽しみあれ。
大自然との調和を堪能するランドスケープミュージアム

あまたある美術館の中でも、傑出した「景観」が持つ土地のパワーを、余すところなく生かした美術館をご紹介。単なる風景美とは一線を画し、芸術と自然が織りなす美しい関係に心が躍る。
千葉・佐倉
DIC川村記念美術館
広大な森と池。ゆったりとアートと語らう時間

光と影が織りなす美の空間で楽しむ多彩なコレクション
広大な森や池があり季節ごとの景色が見事な庭園に佇む「DIC川村記念美術館」。建築家・海老原一郎の理想を詰め込んだ建築空間の中、バロック期のレンブラントから、印象派やピカソなどを含む近現代の多彩なコレクションが楽しめる。現代アートの分野では、戦後のアメリカ美術を代表するフランク・ステラやジョゼフ・コーネルなどの作品を多数所蔵し、その数は日本最大規模を誇る。
11ある展示室は、作品に合わせた空間設計で、採光を工夫。さらに「ロスコ・ルーム」と呼ばれる、世界に4か所しかないマーク・ロスコの作品だけで構成される展示室があり、見逃せない。そこに入るまでに気分を切り替えるための通路を設けるなど、作品がより豊かに感じられる仕掛けが随所に施されている。
この秋注目したいのは、ドイツを拠点に活動する西川勝人の国内美術館としては初となる回顧展だ。彫刻をはじめ、写真、絵画、素描、インスタレーションなど多様な技法を用いながらも、一定して静けさを保持し続ける西川作品の美学にふれることができる。


どちらも西川勝人
©Katsuhito Nishikawa 2024
1949年、東京で生まれた西川勝人は、美術を学ぶべく、バウハウス誕生の地、ドイツに23歳で渡航。ドイツの美術大学を卒業する。美術館の活動に参画し、隣接するアトリエを拠点に制作を続け、現在はハンブルグ美術大学名誉教授として後進の指導にもあたっている。40年にわたり、光と闇、その間の漠とした陰影に心を配り、多様な技法を用いた作品を手掛けてきた。本展覧会では、1980年代から現在までの約70点の作品を展示する。
全身でアートと自然を感じる


DIC川村記念美術館

住所:千葉県佐倉市坂戸631
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時30分~17時
休館日:月曜(祝日の場合は翌日振替)、展示替え・メンテナンス期間、年末年始
料金:一般1800円(西川勝人展期間)展示内容により変わる。
● 2025年1月26日まで「西川勝人 静寂の響き」を開催中。
美術館の開館時間、休館日、展示期間、展示内容等は変更になる場合あり。お出かけ前に美術館の公式ホームページ等をご確認ください。
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[MEN’S EX Autumn 2024の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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