スタンツァーニとガンディーニが生み出した秀逸なパッケージング

折しもこの1960年代末期には、エンジンもダウンサイジングした2+2の手頃なモデル開発にフェラーリなどライバルたちも取り組んでいた。廉価で実用性を持ったモデルによって販売台数を増やす必要があったのだ。そして、それが“必然”となったのは1973年に突如として世界を襲ったオイルショックであった。
1970年代初頭のモデナにおける3大メーカーは、こういったコンセプトの2+2モデルをカタログに載せることとなった。それがフェラーリ(ディーノ) 308GT4、マセラティ メラクであり、ランボルギーニ ウラッコなのだ。
ウラッコは前述のようにモノコックボディを採用し、スタイリング開発はカウンタックと同様にベルトーネ在籍のマルチェッロ・ガンディーニが担当した。スタンツァーニとガンディーニはとてもウマが合い、お互いを尊重し合っていたため、特にスタイリング開発はきわめてスムーズに進んだという。

特筆すべきは、ガンディーニがデザイン面だけでなくエンジニアリング面においても深い知識を持っていたことだ。そんな2人のアイデアから生まれたウラッコのパッケージングはきわめて秀逸だ。2+2の4シーターでありながらも、かなりのショートホイールベース。スタイリングはシャープそのものであり、冗長感はまるで感じさせない。
エンジニアリング面ではミッドマウントのレイアウトに収めるために、きわめてコンパクトなV8エンジンが新たに開発された。オーバースクエアの2463cc SOHC、220ps/7500rpmのスペックを持つ、スタンツァーニらしいユニークなものであった。
ランボルギーニ「ウラッコ」のディテールをチェック(画像4枚)
1970年に発表された、ランボルギーニの未来を懸けたウラッコであったが、オイルショックの影響、創始者であるフェルッチオが事業を手放したことなどに起因するランボルギーニ社の混乱の中、その開発は大きく蛇行することとなった。そのプロダクションモデルが完成するのは1973年のことであった。
(後編に続く)
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文・写真=越湖信一 EKKO PROJECT 写真=マセラティ 編集=iconic