2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
クロノグラフの最上位機種
SPLIT-SECONDS CHRONOGRAPH(スプリットセコンド・クロノグラフ)
スプリットセコンドを直訳すると「分割された秒」。クロノグラフ秒針と同軸にスプリットセコンド針が備わり、ラップタイムや速度が異なる2者のゴールタイムが計測できるクロノグラフ機構の進化系である。別名ラトラパンテ。仏語で「追い付く」を意味するrattrapageに由来し、停止してラップタイムを示していたスプリットセコンド針が、再び計測を始める際、先に進んでいるクロノグラフ秒針に追い付くからこの名が付いた。

パテック フィリップで学ぶ
スプリットセコンド・クロノグラフの読み方・使い方
2つの秒積算計針でラップタイムを計測
下のモデルでリューズと同軸にあるボタンは、スプリットセコンド針の操作用である。通常のクロノグラフと同じ操作でスタートさせれば、2つの針は重なって運針する。そしてリューズのボタンを押すとスプリットセコンド秒針は止まり、一方のゴールタイムやラップタイムを示す。その際、クロノグラフ秒針は動き続け、再びリューズのボタンを押すとスプリットセコンド秒針が追い付き、計測を再開する。クロノグラフ秒針はストップボタンを押すと止まり、重なって運針している時は両方止まる。2つの針が離れていても重なっていても、両方停止していれば一緒にリセットできる。

