2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
大きくて読みやすい日付表示
OUTSIZE DATE(BIG DATE)(アウトサイズデイト(ビッグデイト))
日付表示は、最も一般的な腕時計の付加機能だ。これをA.ランゲ&ゾーネは1994年、通常のおよそ3倍まで大型化し、視認性を飛躍的に高めた。名付けてアウトサイズデイト。これ以前にも、3倍までとはいかないが大型日付表示は他社にも存在していた。現在も多くのブランドがビッグデイトやラージデイト、グランドデイトなど、さまざまな呼称でラインナップに加えている。いずれもしくみは似ており、通常の日付表示より複雑だ。

A.ランゲ&ゾーネで学ぶ
アウトサイズデイトの読み方・使い方
1の位と10の位を別々のディスクで表示
大型日付表示は、日付の1の位と10の位を個別のディスクで表示することで、大型化している。その大半は0から9の数字が備わる1の位のディスクと1・2・3・空白(あるいは0)の10の位のディスクが並列に設置される。対してA.ランゲ&ゾーネのアウトサイズデイトは、10の位のディスクを十字型として1の位のディスクに重ねて設置したことで機構自体をコンパクト化し、その分、大きな表示を可能とした。
またアウトサイズデイトの調整は、リューズではなくケース10時位置のボタンで行う設計として、故障のリスクも低減。これら十字ディスクとボタン操作は、特許を取得している。

