2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
ロマンティックな月齢表示
MOON-PHASE(ムーンフェイズ)
神秘的な月の満ち欠けをダイヤル上で表現するムーンフェイズは、16世紀のクロックに見られる伝統的な機構である。一定の周期で変化する月の“位相”(Phase)は、太陰暦の基準であった。太陽暦を用いていたヨーロッパでムーンフェイズが発明されたのは、街灯がなかった時代、夜の行動が月明かり頼りだったから。また“月の位相”(月相)は潮の満ち引きに関係し、人のバイオリズムも左右しているといわれ、現代人にも役に立つ。

IWCで学ぶ
ムーンフェイズの読み方・使い方
サブダイヤルで月の満ち欠けを表示
今ではさまざまなムーンフェイズのスタイルがあるが、最もオーソドックスなのは、半円形の窓を開けたサブダイヤルの中で回転するディスクに描いた満月を、窓から突き出す2つの山で隠して満ち欠けさせるしくみ。月は左側の山から少しずつ現れ、2つの山の間で満月となり、続いて右側の山に隠れて欠けていく。この月の位相で、月齢を知る。また窓の外側に月齢インデックスが備わるモデルも数多い。
ムーンフェイズの調整は、ケースサイドに埋め込まれたボタン(コレクター)を専用ピンで押して進める設計が大半。満月か新月の日に調整すると、正確な位相が得られる。

