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折れ曲がる5本の指が毎正時に動いて時刻を表示
有名監督との出会いが生んだ唯一無二の超絶表示スタイル
2021年にたった1点のみ製作されたF.P.ジュルヌのコンプリケーション時計「“FFCブルー”」。このモデル誕生の裏には、映画監督フランシス・フォード・コッポラとのあるエピソードがある。夫人からプレゼントされたジュルヌの時計をいたく気に入ったコッポラは、2012年に彼を自宅に招く。そこでコッポラは、先人たちが指で数えていたように時間を表示する時計が考案されたことはあるかと尋ねた。この問いに創作意欲を掻き立てられたジュルヌは2年後に開発を開始し、7年かけて完成したのだった。本作はその市販モデルとなる。
ジュルヌはまず、5本の指でどうやって1〜12の数字を表示するかを考えた。例えば、5時は5本の指全部、7時は親指と人差し指、12時は親指と小指でというふうに。次に彼は、このモデルにふさわしい手の構造について、ルネッサンス期の外科医アンブロワーズ・パレが製作した古い義肢の設計図に想を得た。これらをもとに、文字盤上の5本の指が姿を変えて時を表示し、ボールベアリング上に配した外周リングが回転して分を表示する機械式時計を開発したのである。
また彼は、搭載ムーブメントの限られたエネルギーを統制するために、ルモントワール機構を取り入れた。コンスタントフォースの一種で、ゼンマイの巻き上げ量により変化するトルクを一定に保って精度を安定する同機構。この機構が毎正時に作動し、香箱より蓄積した動力を使って指の動きを再現するカムを動かす。同時に、動かす指がたとえ1本でも4本でもエネルギー量は一定のままなので、時計精度に影響が及ぶことはない。
同機構の採用で搭載するCal.1300.3は5日間のロングパワーリザーブを確保。さらに超複雑機構の自動巻きながら厚さわずか8.1mmとなる。一度でいいからその超絶な手の動きを拝みたいものだ。
この機構が凄い!
【Point 1】
5本の指が姿を変えて時刻を表示15世紀にアンブロワーズ・パレが考案した義肢の設計図をもとに、機械仕掛けの手1本により1〜12時までの時刻をデジタル表示。チタン素材で作られたリアルな指を伸ばしたり縮めたりするのも、すべて自動巻きムーブメントで行う驚異の複雑系ウォッチだ。
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【Point 1】
5本の指が姿を変えて時刻を表示
15世紀にアンブロワーズ・パレが考案した義肢の設計図をもとに、機械仕掛けの手1本により1〜12時までの時刻をデジタル表示。チタン素材で作られたリアルな指を伸ばしたり縮めたりするのも、すべて自動巻きムーブメントで行う驚異の複雑系ウォッチだ。
【Point 2】
文字盤外周のリングが回転して分を表示分表示は文字盤外周の大型ボールベアリング上に配置した回転リングによって行う。回転リングは60分で文字盤を1回転し、12時位置のインジケーターが示す数字が現在の“分”となる。これにより文字盤中央で時表示する手型機構の設置が可能になったといえる。
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【Point 2】
文字盤外周のリングが回転して分を表示
分表示は文字盤外周の大型ボールベアリング上に配置した回転リングによって行う。回転リングは60分で文字盤を1回転し、12時位置のインジケーターが示す数字が現在の“分”となる。これにより文字盤中央で時表示する手型機構の設置が可能になったといえる。
【Point 3】
エネルギーを統制するルモントワール機構ムーブメントの基本輪列と表示輪列の間にルモントワール機構を設置。板状バネ、作動装置、偏心ピースなどからなるこの機構が毎正時に解放され、指を動かすために香箱から供給されたエネルギーを統制。これにより超複雑機構で5日間パワーリザーブを実現した。
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【Point 3】
エネルギーを統制するルモントワール機構
ムーブメントの基本輪列と表示輪列の間にルモントワール機構を設置。板状バネ、作動装置、偏心ピースなどからなるこの機構が毎正時に解放され、指を動かすために香箱から供給されたエネルギーを統制。これにより超複雑機構で5日間パワーリザーブを実現した。
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※表示価格は本書発売時(2023年9月1日現在)の税込み価格です