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「鎖(くさり)」で動力を伝えるブレゲ考案のトゥールビヨン
ブランド伝統の超絶技術を最新テクノロジーで再現
19世紀にアブラアン-ルイ・ブレゲが考案した初のトゥールビヨン機構付き懐中時計のデザインをモチーフに、ラグジュアリーなプラチナ仕様に作り上げた「トラディション トゥールビヨン・フュゼ」。本作はトゥールビヨンの他にも、天才時計師による数多くの発明が網羅された超絶コンプリケーションとなる。
まず注目したいのはムーブメント心臓部のテンプである。テンプにはその伸縮を通して振動を調整するひげゼンマイが備わるが、この渦巻き状のパーツには18世紀末までフラットな「平ひげゼンマイ」が用いられていた。一方、その片側の先端を持ち上げて小さなカーブを作り、同心円状に伸縮させることで等時性を高めたのが「ブレゲヒゲゼンマイ」。ブレゲが開発したこの発明が時計の精度をいっそう向上させたわけだが、本作ではブレゲヒゲゼンマイを先進素材のシリコンで作り上げることに成功している。これにより耐磁性や耐衝撃性、耐腐食性といったさまざまなメリットを手に入れた。
また、ブレゲの発明で忘れてならないのがパラシュート機構だ。テンプの軸は非常に脆く、外部からの衝撃が加わると簡単に折れてしまう。そこでブレゲは軸の先端にキャップを被せ、さらに土台をバネ状にすることでこれを克服。インカブロックなどの先駆けとなるこの耐衝撃機構もしっかり取り入れている。
そして最大の特徴が円錐滑車と鎖引き機構。“フュゼ”と呼ばれる円錐状の滑車と、主ゼンマイを納めた香箱をチェーンでつなぎ、ゼンマイがほどけるにしたがって直径の小さな上部から大きな下部へとチェーンが移ることでトルクの不均衡を解消するシステムである。かつては懐中時計で用いた場所をとる仕組みを小さな腕時計で実現した技術力はさすが。偉大な先人から受け継いだ伝統を最新技術で再現し、満載した特別な1本なのだ。
この機構が凄い!
【Point 1】
シリコン素材で先端カーブのブレゲヒゲゼンマイを実現1795年にアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した、先端がカーブした「ブレゲヒゲゼンマイ」を先進素材のシリコンで実現。本来、金属のような可鍛性をもたないシリコンでそのような形状に成形することは困難だったが、同社は高い技術力によってこれを成し遂げた。
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【Point 1】
シリコン素材で先端カーブのブレゲヒゲゼンマイを実現
1795年にアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した、先端がカーブした「ブレゲヒゲゼンマイ」を先進素材のシリコンで実現。本来、金属のような可鍛性をもたないシリコンでそのような形状に成形することは困難だったが、同社は高い技術力によってこれを成し遂げた。
【Point 2】
衝撃を吸収するパラシュート機構1790年にアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した耐衝撃吸収機構。脆弱なテンプの軸を衝撃から守るため、テンプ軸の先端を円錐にカットし、その形状に合わせた受け皿状のパーツで支える。さらにそれらをバネ付きの台に載せた構造に。現代の耐衝撃機構の元祖となる。
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【Point 2】
衝撃を吸収するパラシュート機構
1790年にアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した耐衝撃吸収機構。脆弱なテンプの軸を衝撃から守るため、テンプ軸の先端を円錐にカットし、その形状に合わせた受け皿状のパーツで支える。さらにそれらをバネ付きの台に載せた構造に。現代の耐衝撃機構の元祖となる。
【Point 3】
香箱とフュゼ(円錐滑車)を極小のチェーンがつなぐ
懐中時代から続く円錐滑車と鎖引き(フュゼチェーン)機構を採用。極小部品で構成されるチェーンと円錐滑車を利用して香箱からの動力を伝えることにより、主ゼンマイの巻き上げ量に関係なく一定の動力を供給し続けるコンスタントフォース(定力)が実現する。
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【Point 3】
香箱とフュゼ(円錐滑車)を極小のチェーンがつなぐ
懐中時代から続く円錐滑車と鎖引き(フュゼチェーン)機構を採用。極小部品で構成されるチェーンと円錐滑車を利用して香箱からの動力を伝えることにより、主ゼンマイの巻き上げ量に関係なく一定の動力を供給し続けるコンスタントフォース(定力)が実現する。
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※表示価格は本書発売時(2023年9月1日現在)の税込み価格です