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3つの複雑機構を「円」で繋げた美しいグラン・フー・エナメル
メゾン伝統の複雑機構を宙に浮かせたかのように再構築
ダイヤル側にブリッジのない腕時計用のフライングトゥールビヨン・キャリバーは、1989年にブランパンと独立時計師ヴィンセント・カラブレーゼとの協業によって生み出された。テンプの天真がキャリッジの回転軸の外側にあり、その対極に位置するガンギ車とともに衛星の如く回転する特異な構造は、その後ブランパンのトゥールビヨンの伝統となった。
2018年に誕生した本作では、12時位置に置くトゥールビヨンのキャリッジを透明なサファイアクリスタル製とし、テンプとガンギ車がまるで宙に浮いているかのように回転する様子が実に幻想的だ。そしてトゥールビヨンの丸い開口部の下には、およそ240度の運針角を持つレトログラードミニッツを収めたサークルが重なり、その内側にはさらにジャンピングアワーの丸い表示窓が収まっている。これらレトログラードミニッツとジャンピングアワーを採用したのは、ブランパンとしては初。トゥールビヨンを含む3つの機構は、どれもレッドゴールドのリングで縁取られたサークル内に構築され、各円が重なる様子が美しい。
これら3つのサークルを配したホワイトのダイヤルは、ブランパンのメティエダール(手仕事の技術)アトリエで製作された、伝統的なグラン・フー・エナメル製。グラン・フーとは仏語で大きな炎を意味し、800度の高温で焼成する際、気化した釉薬に着火し、大きな炎を上げることに由来する。そのエナメルのベースはソリッドゴールド製。トゥールビヨンとジャンピングアワーの各開口部を造作し、レトログラードミニッツが収まるサークルの外側と内側とを彫り取った後、その周囲に幾層にも釉薬を重ね、焼き上げることで、しっとりとした質感が生まれる。ムーブメントの裏蓋側は手彫りギョーシェが施され、工芸的な美を放つ。
この機構が凄い!
【Point 1】
サファイアディスクのトゥールビヨン2018年の発表時の資料によれば、トゥールビヨンを取り付けたサファイアディスクの外縁には、キャリッジの両端から伸びる各2本のアームが支える歯車が取り付けられ、駆動が伝達される仕組みになっている。裏蓋側中心部には全体を支えるボールベアリングの姿が。
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【Point 1】
サファイアディスクのトゥールビヨン
2018年の発表時の資料によれば、トゥールビヨンを取り付けたサファイアディスクの外縁には、キャリッジの両端から伸びる各2本のアームが支える歯車が取り付けられ、駆動が伝達される仕組みになっている。裏蓋側中心部には全体を支えるボールベアリングの姿が。
【Point 2】
レトログラードミニッツ表示レトログラードミニッツは、斜めに傾き、大きな角度で運針する様子がユニーク。機構は60分で1周するカタツムリ状のスネイルカムとレバー、櫛歯、板バネから成り、スネイルカムに沿って動くレバーがカムの段差に落ち込むと板バネが解放され、針を零帰させる。
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【Point 2】
レトログラードミニッツ表示
レトログラードミニッツは、斜めに傾き、大きな角度で運針する様子がユニーク。機構は60分で1周するカタツムリ状のスネイルカムとレバー、櫛歯、板バネから成り、スネイルカムに沿って動くレバーがカムの段差に落ち込むと板バネが解放され、針を零帰させる。
【Point 3】
ブランパン初のジャンピングアワー
ジャンピングアワーのディスクの下には12の歯を持つ星型歯車が潜み、レトログラードミニッツと連動する第2の櫛歯と噛み合っている。そしてレトグラードミニッツがフライバックすると同時に第2の櫛歯が動いて、ジャンピングアワー用の星車を1歯分送る。
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【Point 3】
ブランパン初のジャンピングアワー
ジャンピングアワーのディスクの下には12の歯を持つ星型歯車が潜み、レトログラードミニッツと連動する第2の櫛歯と噛み合っている。そしてレトグラードミニッツがフライバックすると同時に第2の櫛歯が動いて、ジャンピングアワー用の星車を1歯分送る。
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※表示価格は本書発売時(2023年9月1日現在)の税込み価格です