主輪列をダイヤル側に隠したフライング トゥールビヨン
表からも裏からもトゥールビヨンが露わに
2019年に登場した自動巻きフライングトゥールビヨンCal.2950を、新色スモークブルーのダイヤルの下に搭載した新作。ダイヤル側にブリッジがないため、チラネジ付きテンプと脱進機とを内包したキャリッジが回転する様子を、より鮮明に目にできる。さらに裏側からの見た目の美しさにも配慮。ローターをオープンワークにして比重を偏らせ、回転効率を高めるのは、オーデマ ピゲの定石だが、同時に隙間が大きく広くなるため、ムーブメント観賞にも一役買う。またCal.2950は、主輪列をダイヤル側に置く反転式で、さらに各歯車をオフセットしたことで裏側からはキャリッジ駆動車がわずかに覗くだけ。手仕上げされたトゥールビヨンの美を堪能できる。
ムーブメント厚は6.2mmと、自動巻きトゥールビヨンとしてはかなり薄型設計。そのために自動巻き機構は、リバーサーが不要な片方向巻き上げとした。そしてローターが巻き上げ方向とは逆に回転しても、香箱を逆回転させないよう、角穴車にはワインディングクリックを採用。簡易なワインディングクリックは他社にもある。しかしCal.2950では、角穴車の逆回転を止めるくちばし状の爪レバーとそれを機能させるスプリングが2つ備わる、グランドソヌリで用いられる構造を採った。堅牢で信頼性が高く、造形的にも見た目をより魅力的にする。
外装の審美性も、極めて高くなっている。八角形ベゼルにはバゲットダイヤをセットし、植字インデックスもバゲットダイヤとした。その煌めきに負けない輝きを放つ12時位置の植字のロゴは、24金の薄いレイヤーを3Dプリントに似たガルバニック加工で生成する独自技術で作られている。ダイヤルに植える脚は極めて細く、繊細な手作業が不可欠となる。オーデマ ピゲは、美の創出に手間と時間を惜しまないのだ。
この機構が凄い!

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