SSケースでレギュラー化した日常使い永久カレンダー
熟成を重ね、進化を続けるクラウス式永久カレンダー
2003年、クラウス式永久カレンダーが、初めて自社製ムーブメントと組み合わされた。搭載したのは、ゴールド製の「ポルトギーゼ」。その3年後には、プラチナ製の限定版「ビッグ・パイロット・ウォッチ」にも採用された。そして2021年、SS製の「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー」がついに誕生し、レギュラー化を果たす。本作は、それに2023年追加された新色、グリーンダイヤルである。
前述したように1985年に発表されたクラウス式永久カレンダーは、操作性においても極めて革新的だった。
ほとんどの永久カレンダーは、24時間車に取り付けたレバーが、4年分の月の大小を切りかけの深さの違いでプログラミングされた48ヶ月カムを読み取りながら、ムーンフェイズ以外の各暦を爪で送る仕組みを採る。ゆえに日表示以外の調整は、個別にケースサイドに埋め込まれたコレクターで行わなければならなかった。これをクラウス氏は、リューズでムーンフェイズを含むすべての暦表示を一斉送りできるようにした。これで長期間時計が止まっていても、暦を合わせるのが飛躍的に容易になった。
もっとも、搭載するCal.52615は、ツインバレルによる7日間のロングパワーリザーブを誇るため、完全に停止してしまうのは、稀なケースであろう。自動巻き機構には、クラウス氏の師、アルバート・ペラトン氏考案の、ペラトン式と呼ばれる高効率な両方向巻き上げ機構を継承。しかも摩耗が激しい爪レバーと切り替え車をセラミック製とした進化系だ。
12時位置に備わる南北両半球の月相が鏡像のように上下に重なるダブル・ムーンフェイズは、2003年にIWCが初めて実現した特許技術。1985年に始まったIWCの永久カレンダーは、熟成を重ね、進化して際立った価値を高める。
この機構が凄い!

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