ローターの慣性を自分で変えられるバタフライローター
スポーツウォッチとして究極の自動巻き機構
2010年に始まったプロテニスプレイヤー、ラファエル・ナダルとのコラボモデルでは、これまで彼がプレイ中でも装着できる軽さやフィット感、耐衝撃性の高さが、追求されてきた。そして2022年に登場したこのナダル・モデル最新作では、新たに自動巻き機構を革新した。
自動巻きローターは、重量バランスが大きく偏るほど慣性モーメントが上がり、力強く回転する。この「RM 35-03 オートマティック ラファエル・ナダル」に備わる自動巻きローターも、比重の小さいチタン製のフレームの外側に比重が大きいメタルを取り付けた半円状で、回転は力強い。しかし8時位置のボタンを押してスポーツモードにするとローターは二分割して羽根のように広がり、慣性モーメントを極端に小さくし、巻き上げ能力をほぼ失う。これを名付けてバタフライローター。一般的に自動巻きは、完全に巻き上げられると巻き過ぎを防ぐため香箱がスリップする。バタフライローターは、スポーツ時の激しい腕の動きでローターが過剰に回転し、香箱のスリップが増えることによる負荷を解決する。
下の写真で2つに分かれたローターの下側の間に見える櫛歯が備わるカムと、それと噛み合う太陽歯車と遊星歯車による輪列が、新機構の鍵だ。8時位置のボタンを押すと、カムの櫛歯が動いて太陽歯車を回す。すると遊星歯車が大きく内側へと回転してローターの軸に取り付けたカナと噛み合い、対称位置で二分割するように回転させる。再びボタンを押せば、ローターは元どおりに。スポーツウォッチとして究極の自動巻きを収めたケースは、カーボンTPT®とホワイトクオーツTPT®を組み合わせ、頑強かつ超軽量に装った。さらにリューズの機能を2時位置のボタンで切り替えるファンクションセレクターも装備。リシャール・ミルらしさが随所に光る。
この機構が凄い!

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