今の気分に合ったコーヒーを楽しむ
好みの味の見つけ方
豆の特徴を知り、好みの味に辿り着くための指標となるのが、パッケージに書かれたデータ。さらに、産地ごとの傾向もわかると、コーヒー選びがより楽しくなる。
知るほどおいしい! パッケージの読み方

1. 品種
普段飲まれているコーヒーのほとんどはアラビカ種。その中でさらにティピカ、ブルボン、ゲイシャ、カトゥーラといった細かい品種に分けられる。この品種名がスペシャルティコーヒーの銘柄名となっていることも多い。
2. 精製・精選方法/生産処理
コーヒーチェリーから豆を取り出す工程。味を左右する。コクや香りが際立つナチュラル、クリーンで繊細なウォッシュト、その中間のパルプトナチュラル(ハニープロセス)の3つが代表的。
3. ロースト/焙煎
焙煎が浅いほど酸味が強く、深いほど苦みが強くなる。日本では浅煎り、中煎り、中深煎り、深煎りと呼ばれ、さらに細分化するとライト→シナモン→ミディアム→ハイ→シティ→フルシティ→フレンチ→イタリアンの8段階に分けられる。
4. 焙煎日

5. 生産国
コーヒー栽培に適したエリアは北緯25度から南緯25度の熱帯・亜熱帯エリアで、「コーヒーベルト」と呼ばれる。代表的な産地と味の傾向は下図を参照。
6. 生産地域
コーヒーの味を決める要素には、ワインのように「テロワール」、つまり栽培地域の特性も深くかかわってくる。
7. 標高
コーヒーの生育においては、昼夜の適度な寒暖差が必要となる。品評会では標高1000~2000mの間で栽培されたものが高評価を受けることが多い。標高が高いと酸味や甘みが強く、低いとマイルドで芳しい傾向がある。
8. 農園
スペシャルティコーヒーやそれに次ぐプレミアムコーヒーは生産地や農園が特定されており、個性的な味わいが楽しめる。
世界のコーヒー味巡り

【タンザニア】
「キリマンジャロ」は日本でも古くから知られる。強い酸味と適度な苦みでバランスがよい。焙煎の深さで味わいが変わるのも特徴。
【ケニア】
世界初のコーヒー研究機関を設立し、欧州では一級品として高値で取り引きされる人気産地。酸味が強く、果実の風味が豊か。
【エチオピア】
コーヒー発祥の国といわれ、「モカ」が有名。近年注目の高級品種「ゲイシャ」もエチオピア原産。花や果実のような芳醇な香り。
【コスタリカ】
小規模農園による高品質な豆が近年評価を得ている。ハニープロセスを確立し、濃厚な甘みとフルーティさを引き出している。
【ジャマイカ】
厳しい管理のもとで栽培、輸出される高級豆「ブルーマウンテンコーヒー」は、調和のとれた味と香気、なめらかな喉ごしが魅力。
【インドネシア】
「マンデリン」が有名だが、その他にもエキゾチックな風味を持つ豆が増えている。独自の生産処理方法「スマトラ式」がある。
【ハワイ】
キリマンジャロ、ブルーマウンテンと並び、世界三大コーヒーと称される「コナ」は、爽やかな酸味とまろやかな甘い香りが特徴。
【グアテマラ】
2000年代のスペシャルティコーヒー市場を牽引した産地。柑橘果実の酸味とチョコレートのようなコクがあり、バランスがよい。
【コロンビア】
太平洋とカリブ海に面し、地域によって気候が異なるため、味わいのバラエティも豊か。高品質豆「エメラルドマウンテン」が有名。
【ブラジル】
世界最大の生産国で、日本の輸入量もトップ。酸味が少なく、コクのあるマイルドな味わい。飲みやすいので入門コーヒーに最適。
[MEN’S EX Autumn 2023の記事を再構成]