時針がラトラパンテする超ミニマルコンプリケーション
既存の機構を重ね合わせた信頼性の高いメカニズム
2022年「トンダ PF」コレクションに投入された、新たなGMTモデルは、時計販売店やメディア関係者から大絶賛された。高評価のポイントは、優れた操作性とメカニズム、ミニマルな外観である。
ロジウム仕上げと18KRG無垢と、色を明確に変えた2本のゴールド製時針は、自国にいる際には1つに重なり、シンプルな2針時計となる。植字インデックスは極端に短く、19世紀に作られたローズエンジンでダイヤルに施されたバーリーコーンギョーシェの美観を存分に引き出している。そして海外渡航時に8時位置のボタンを押すと、ロジウム側の時針が単独で1時間刻みでジャンプし、現地時間に合わせられる仕組み。RG側の時針は、ホームタイムを示す。これに似た12時間表示の時針が2つ備わる2タイムゾーンウォッチは他社にもある。しかし本作は、帰国時にリューズ同軸のプッシャーを押せば、瞬時にロジウム側の時針がRG側に“追い付き”、重なる点で、機構的独創性を持つ。追い付きを強調したのは、モデル名のラトラパンテがラテン語で追い付くという意味だから。
ジャンピングタイムゾーン設定には、12歯の星型歯車を用い、それにクロノグラフのリセット用に使われるハートカムを重ねた設計。ハートカムは、2本の時針が重なった位置を起点とするよう設置されている。そしてリューズ同軸のプッシャーを押すと、ハンマーがハートカムを打ち、星型歯車を2つの時針が重なる位置へ戻す。星型歯車とハートカムは、既存のGMTとクロノグラフで長く使用されたメカニズムであり、信頼性は高い。
GMT ラトラパンテのモジュールを重ねたのは、マイクロローター式の自社製自動巻きCal.PF703。3.07mmの極薄設計で、モジュールを重ねたCal.PF051の厚みも4.9mmしかない。結果ケースも薄くなり、ドレッシーに装った。
この機構が凄い!

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