一体型毎時3万6000振動の1/10秒計測スプリットセコンド
古典の高級機にならったゴールド製ムーブメント
神の手を持つと称賛されるミシェル・パルミジャーニ氏は、自身のブランドが創設20周年を迎えた2016年、自社製初の一体型クロノグラフをスプリットセコンドで実現してみせた。しかも毎時3万6000振動である。ハイビートのスプリットセコンドは誕生当時、唯一であり、今でも他に一例しかない極めてレアな存在。そのCal.PF361を搭載した記念限定モデルでは、2017年にジュネーブ時計グランプリでベスト・クロノグラフ賞を受賞。高性能であることが公に認められた。
毎時3万6000振動とは、毎秒10振動。秒針は1秒間を10ステップ刻みで運針するため、理論上1/10秒計測が可能だ。本作ではインデックスの雑然さを嫌い、秒目盛りは1/5秒刻みであるが、その中間点で1/10秒の目視はできる。
クロノグラフとスプリットセコンドを、専用のコラムホイールで操作する贅沢な設計とし、右の写真で上側にあるコラムホイールがスプリットセコンド用だ。クロノグラフのクラッチには、作動時の針飛びを解消し、動作中でもテンプの振り角が落ちづらく、精度を保つ垂直クラッチを選択。古典的な水平クラッチと比べ、メカニズム的な美観には劣るが、それを補って余りある審美性をCal.PF361は湛える。テンプを中心に同心円状に形作られたオープンフレーム型のブリッジは、18KRG製。さらに地板にも同素材を用いた。ゴールド製ムーブメントは、かつて高級懐中時計に稀に見られ、修復で名を馳せたパルミジャーニ氏は、それにならった。ブリッジは内角も外角もシャープに形作られ、エッジは完璧な鏡面状に仕上げられている。ブリッジの間から見え隠れするパーツ類の仕上げも見事だ。
さらに65時間という十分なパワーリザーブも備わる。それを叶える、12時付近に見える大型の香箱には装飾仕上げが施され、審美性はより一層高まった。
この機構が凄い!

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