世界初の腕時計グランドコンプリの後継となるロングセラー
IWCの生ける伝説が生み出した偉大なる超複雑時計
1985年に誕生した世界初のクロノグラフ永久カレンダー「ダ・ヴィンチ」は、時計史における金字塔の1つである。設計者は、IWCの生ける伝説クルト・クラウス氏。この時彼は、4桁の西暦表示と122年調整不要な永久ムーンフェイズも実現している。これを名付けてクラウス式永久カレンダー。そして1990年、ダ・ヴィンチに搭載したムーブメントにミニッツリピーターを組み込んだ「グランド・コンプリケーション」腕時計を、IWCは他社に先駆け作り上げた。既存ムーブメントに組み込める薄くコンパクトなリピーター機構を搭載する。
本作は、ケース構造を改め、ポルトギーゼコレクションに加わった後継機。オンデマンドで機能するリピーターは、専用香箱を巻き上げるために起動にはスライダーが多用される。ケースサイドに細長いスリットができるため、多くの場合は非防水となる。しかしIWCはスライダー部に巧妙にガスケットを潜ませ、3気圧防水を実現してみせた。気密ケースは音響的に不利だが、音響ブリッジプレートで音を伝達することでカバーした。
搭載するCal.79091は、1985年のダ・ヴィンチで用いて以来、IWCがさまざまにモディファイしてきた信頼性の高い汎用自動巻きクロノグラフムーブメントがベース。Cal.79091の組み立て途中の写真を見ると、汎用クロノグラフに地板を追加し、リピーター機構を組み込んでいるのが分かる。そしてダイヤル側に、永久カレンダーモジュールが載る。
ミニッツリピーターには、スライダーを完全に下まで動かさなければ起動しないオール・オア・ナッシング機構を搭載。手荒い操作による故障を防いでいる。IWCは、グランド・コンプリケーションをレギュラー化する稀有な存在である。しかし年間生産数は50本と、稀少性は極めて高くなっている。
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