静かでトルクフルな走りはまるで「電気自動車」のよう

新型X1導入時のラインアップは、2リッター直4ターボガソリンエンジンを搭載する「xDrive20i」と、X1初となる電気自動車「iX1」の2本立てだったが、5月にはこの2リッター直4ターボディーゼル「xDrive20d」の追加が発表された。
そのディーゼルエンジンは、X1としては初となる48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載する。最高出力150ps、最大トルク360Nmを発揮する2リッター直4ターボディーゼルエンジンは、B47型と呼ばれるもので、218dアクティブツアラーと同じものだ。それに19ps/55Nmを発揮する電気モーターが付加されている。
48Vマイルド・ハイブリッド・システムによってモーターが0〜2000回転域をカバーしてくれるため、発進時のトルクの力強さに驚いた。遮音も効いており、車内にいればディーゼルと言われなければわからないほど。静かにかつトルクフルに走るので、まるで電気自動車に乗っているかのように感じる場面もあった。
トランスミッションは先代が8速ATだったのに対して、7速DCTになった。DCTに懸念される低速域でギクシャクするような挙動はなく、スムーズに変速していく。ちなみに燃費はWLTCモードで19.5km/Lと、このセグメントではトップクラスの性能を誇る。

試乗車はM Sportで、足回りにはアダプティブMサスペンションを装備し、そしてタイヤはいまどきとしては控えめな18インチサイズ(コンチネンタルEco Contact6 Q)を装着していた。低速域では多少硬さを感じる場面もあるが、サスペンションの効果もあって、高速道路などでは気持ちよくフラットに走る。
そして感心するのが、先進安全機能のドライビング・アシストの出来の良さ。他メーカーのクルマでアクティブ・クルーズ・コントロール使用時に、ステアリングを握っているにもかかわらず、アラートが出ていらいらすることがよくある。しかし、静電容量式センサーを他社に先駆け採用してきたBMWは、感度の設定が秀逸のようだ。右手を11時や12時の位置に持ちかえてもまったく問題なく、試乗中に一度もアラートが出なかった。さらに高速道路での渋滞時(60km/h以下)には手放し走行が可能なハンズ・オフ・アシストが起動するので本当にストレスフリーに運転できる。
実は電気自動車の「iX1」もなかなかの出来の良さなので、自宅に充電設備がある人にはオススメできる。しかし、もうしばらくは内燃エンジンモデルで、ロングドライブも不安なく走りたいという人には、やはりこのディーゼルモデルが価格、性能、使い勝手のバランスがとれた大本命だと思う。
文・藤野太一 写真・柳田由人 編集・iconic