読者諸兄には時計好きの方も多いと思うが、機械式時計の基本構造、ムーブメントの仕組みやメカニズムまで、詳細に理解している方はまだまだ少ないのでは?と想像する。そんな方に向けた、腕時計の仕組みを“世界一わかりやすく”解説した本『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』が誕生。その中から一部をピックアップしてご紹介する。
腕時計の傑作ムーブメント【9RA5】
機械式時計の本質や真の価値は、やはりムーブメントにある。分業制とすることで発展を遂げてきたスイス時計業界には、高い技術をもつムーブメント会社がいくつもある。しかしそこに頼らず、自社で開発・製造したムーブメントには、優れた工夫が凝らされ、独創性の高い傑作が数多く存在する。
傑作ムーブメント
9RA5

ゼンマイで動く平均月差±10秒の超高精度
搭載するムーブメントは発電コイルを装備し、その上に設置した回転ローターを香箱と輪列とで動かし発電する。水晶振動子を組み込んだICで回転ローターを1秒8周に制御して針を正確に進める。「9RA5」は3つの香箱を備え、約5日間もの長時間駆動を叶えたスプリングドライブの最新機だ。
グランドセイコー[スプリングドライブ]
![グランドセイコー[スプリングドライブ]](https://www.mens-ex.jp/wp/wp-content/uploads/2023/11/ME_2023_udedokeinoshikumi_p138-149_02-2.jpg)
信州の自然の風景をダイヤルに写す
SLGA009/9RA5に備わるゼンマイの巻き上げ残量を示すパワーリザーブ計を背面に移した、9RA2を搭載。型打ちで白樺林を模したダイヤルの上を、青い秒針が滑らかに運針する。自動巻き。径40mm。SSケース&ブレスレット。
第3のムーブメント方式
腕時計で大勢を占めるクオーツムーブメントは、水晶(クオーツ)が電気を通すと一定周期で振動する性質を利用し、1秒間分振動したことをICで捉え、ステップモーターに命令を出し針を正確に動かしている。このしくみを1969年に最初に腕時計サイズで実現したのが、セイコーだった。高精度で量産しやすいクオーツ式は、その後一気に普及した。
そして1999年、セイコーはスプリングドライブと名づけた新たなムーブメントを開発する。これは機械式と同じくゼンマイを動力源とし、その巻き戻りをクオーツとICとで制御するハイブリッド式。ゼンマイの強い力は太く大きな針を動かせるので視認性が向上し、クオーツで機械式よりはるかに高い精度が得られる。まさに、いいとこ取りである。
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『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』
特別定価 :1,980円(税込み)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
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