読者諸兄には時計好きの方も多いと思うが、機械式時計の基本構造、ムーブメントの仕組みやメカニズムまで、詳細に理解している方はまだまだ少ないのでは?と想像する。そんな方に向けた、腕時計の仕組みを“世界一わかりやすく”解説した本『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』が誕生。その中から一部をピックアップしてご紹介する。
腕時計の傑作ムーブメント【Cal.822】
機械式時計の本質や真の価値は、やはりムーブメントにある。分業制とすることで発展を遂げてきたスイス時計業界には、高い技術をもつムーブメント会社がいくつもある。しかしそこに頼らず、自社で開発・製造したムーブメントには、優れた工夫が凝らされ、独創性の高い傑作が数多く存在する。
傑作ムーブメント
Cal.822

装飾仕上げも美しい、2.94mm厚の薄型設計
基本設計は1992年に遡る。現行機はテンプがフリースプラングに改められている。香箱、駆動輪列、脱進機、テンプの各ブリッジを独立させ、修理・調整がしやすい構造は、古典の高級機に倣う。毎時2万1600振動のロービートである点も古典的だ。
ジャガー・ルクルト[レベルソ]
![ジャガー・ルクルト[レベルソ]](https://www.mens-ex.jp/wp/wp-content/uploads/2023/11/ME_2023_udedokeinoshikumi_p138-149_01-2.jpg)
アール・デコ様式を纏う角型時計
レベルソ・クラシック・ラージ・スモールセコンド/ストライプ状のゴドロン装飾や長方形を重ねたダイヤルなど、ディテールの多くでアール・デコ様式を採る。手巻き。縦45.6×横27.4mm。SSケース。カーフストラップ。
基本に忠実な角型の名機
ジャガー・ルクルトは、クォーツ式も含め、すべてのモデルに自社製ムーブメントを搭載するスイスの名門ブランドである。1931年に誕生した「レベルソ」は、角型ケースを右にスライドさせると、台座からカチリと外れ、裏返せる独自の反転ケースを特徴とする同社のアイコン。多くのバリエーションをもつが、ベーシックなモデルに搭載するキャリバー822は、名機との誉れが高い。
角型ケースにきっちり収まるよう、角型ムーブメントとしているのが名門の名門たるゆえんだ。第1章で述べた、二番車が分針を、四番車が秒針をダイレクトに運針する、機械式ムーブメントの最も基本的な設計を採り、それゆえに精度や操作性に優れ、故障も少ない。極めて古典的な見た目も、時計ファンの琴線に触れる。
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『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』
特別定価 :1,980円(税込み)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
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