【ケース】
叩いては焼くを繰り返して成形する
ケースの主な成形方法は、切削加工と金型を打ち付ける鍛造の2つ。ここでは一般にはあまり馴染みがないであろう、鍛造の工程を説明する。
刃物のように金属を鍛える

金属は、叩くと延びて変形する。この性質を利用した成型法が、鍛造だ。時計ケースの場合、まず金属を打ち抜きや切削で大まかに形作り、それを精密に加工された金型の間で50~200トンの圧力で繰り返しプレスしている。金型は複数用い、少しずつ形を整えていく。鍛造では、金属の硬さが不均一になりやすく、また金属内部に圧力が残る(残留応力)。そこで金型を変える際には、ケースを専用オーブンで熱し、硬さを均一にし、残留応力を取り除く。刀や包丁が、叩いて熱するを繰り返して作られているのと同じだ。

鍛造ケースは金属組織が密で、磨くと強く輝く。鍛造後は、内部形状などを切削で成形。全工程を通して切削加工の場合は、あらかじめ高圧プレスを繰り返した素材を用いる。


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