【5分で学ぶ機械式時計講座:腕時計の作り方1/ケースの作り方】

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【ケース】

叩いては焼くを繰り返して成形する

ケースの主な成形方法は、切削加工と金型を打ち付ける鍛造の2つ。ここでは一般にはあまり馴染みがないであろう、鍛造の工程を説明する。


刃物のように金属を鍛える

フランク ミュラーの「トノウ カーベックス」のケース
フランク ミュラーの「トノウ カーベックス」のケースも鍛造で作られている。すべてが曲面と曲線で構成された極めて複雑なフォルムであるため、3種類の金型を用い、全15工程を経て、写真のように徐々に成形していく。

金属は、叩くと延びて変形する。この性質を利用した成型法が、鍛造だ。時計ケースの場合、まず金属を打ち抜きや切削で大まかに形作り、それを精密に加工された金型の間で50~200トンの圧力で繰り返しプレスしている。金型は複数用い、少しずつ形を整えていく。鍛造では、金属の硬さが不均一になりやすく、また金属内部に圧力が残る(残留応力)。そこで金型を変える際には、ケースを専用オーブンで熱し、硬さを均一にし、残留応力を取り除く。刀や包丁が、叩いて熱するを繰り返して作られているのと同じだ。

残留応力を抜く焼きならし工程
成型後に熱して硬度を均一にし、残留応力を抜く焼きならし工程。ステンレススティールは約850〜900度で熱する。

鍛造ケースは金属組織が密で、磨くと強く輝く。鍛造後は、内部形状などを切削で成形。全工程を通して切削加工の場合は、あらかじめ高圧プレスを繰り返した素材を用いる。

金型の原型となる銅製の電極
金型は、加工液の中で工作物と電極とに電気を流し、工作物を放電で溶かしながら電極の形にする放電加工で作られる。これは、金型の原型となる銅製の電極。
鍛造のための金型
鍛造のための金型。奥右側が表面で、ここに加工途中のケースを置き、左側の裏面にあたる金型を高圧で打ち付ける。手前にあるのは、鍛造途中のケース。
 

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