ラフロードからオンロードまでバランスの良い走り

グレードは「220d」のみの設定。エンジンは、最新の2リッター直列4気筒ディーゼルターボで最高出力は197ps、最大トルクは440Nmを発揮する。そこに23ps/205Nmを発生するISGを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様だ。トランスミッションは9速ATの「9Gトロニック」で、駆動方式は4WD(4MATIC)。前後の駆動力配分は45:55とほぼ均等に割り振られる。燃費(WLTCモード)は従来の15.1km/Lに対して、18.0km/Lと、19%もの大幅な改善を果たしている。

エンジン始動時に聞き耳をたてなければ、ディ−ゼルであることを感じさせないほど、音や振動がきっちり抑え込まれていた。そして高速道路を巡航するようなシーンでは、風切り音やフロアからのロードノイズの進入も抑制されており、先代に比べてワンランク上のモデルへと進化していると感じた。また試乗車はオプションのエアサス(AIRMATICサスペンション)を装着していたこともあり、荒れた路面からの入力もきれいに収めてくれる。また、センターのスクリーンの下部にあるダイナミックセレクトによってコンフォートやスポーツなど走行モードの切り替えが可能。スポーツモードを選択すれば、エンジンもステアリングもダンパーも走りを楽しめるいいバランスにセッティングされる。
そして、もう1つできれば装着したいオプションが、後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」。これは約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度傾けることで最小回転半径を5.1mとコンパクトに、街中などで取り回しをしやすくする。一方で約60km/hを超えると、リアホイールをフロントホイールと同じ方向に最大4.5度操舵することで、高速道路でのレーンチェンジの際などの走行安定性を高めるというものだ。後輪が動くことによる違和感のようなものはない。街中では取り回ししやすく、高速域で大きくロールすることなく安定して走ることができるのでオススメだが、ただし、AMGラインパッケージ(60万円)の装着が前提で、かつエアサスとのセットオプション(ドライバーズパッケージ49万円)と、およそプラス100万円の予算が必要になってしまうが。
ADAS(先進運転支援システム)も、Sクラス譲りの最新世代へとアップデイトされた。従来モデルでは、ディスタンスアシスト・ディストロニック使用時に、ステアリングホイールにかかるトルクでドライバーの手を検知していたため、軽く添えているだけだと警告が出る場面があった。新型ではステアリングのリムに静電容量式センサーを備えたパッドを採用したことで手の認識精度が高まっており、手は離していないにもかかわらず警告がでるような症状が大幅に解消されている。
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一見するとキープコンセプトだが、新プラットフォーム、電動化されたエンジン、最新世代のインフォテインメントやADASと、全方位で進化している。2代目になっても、もっとも売れるメルセデスSUVの座をキープすることは、間違いなさそうだ。
文・藤野太一 写真・メルセデス・ベンツ日本 編集・iconic