読者諸兄には時計好きの方も多いと思うが、機械式時計の基本構造、ムーブメントの仕組みやメカニズムまで、詳細に理解している方はまだまだ少ないのでは?と想像する。そんな方に向けた、腕時計の仕組みを“世界一わかりやすく”解説した本『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』が誕生。その中から一部をピックアップしてご紹介する。
時計外装のしくみ[風防]
建築などでも使われる外装とは、漢字が示すように外側の装い。ムーブメントを保護し、腕にフィットさせる機能を担う。腕時計は装飾品でもあり、外装は見た目を決める重要な要素。単に機能するだけに留まらず、いかに美観を高めるかも考え、ブランド各社はデザインや仕上げに工夫を凝らす。

外装のしくみ
風防
風防とは元来、風による悪影響を防ぐ器具を指し、時計ではダイヤルを覆う透明なカバーがそれに当たる。ガラスとも呼ばれるが、ガラス以外の素材も使われる。
[風防の役割]
風防の一番の役割は、ダイヤルの保護である。現在、用いられる主な素材は、ミネラルガラス、プラスチック、サファイアクリスタルの3種類。ミネラルガラスは安価なため、広く使われているが、衝撃に弱く割れやすい。プラスチック風防には、強度のあるアクリルやヘサライト(強化アクリル)が多用される。割れにくいが、傷が付きやすい。サファイアクリスタルは極めて硬く、傷がつかずかつ強度にも優れる。その分、加工が難しく、素材自体も高価なため、高級時計で使われる。
