香箱って知っている?【5分で学ぶ機械式時計講座】ムーブメントのしくみ編

bool(false)

>> この記事の先頭に戻る

ムーブメントのしくみ

香箱(バレル)のしくみとは?

香箱とはゼンマイが収まる時計の動力機構。それ自体が歯車になっていて、ゼンマイの力で時計を動かす。





[香箱の役割]

香箱の役割

機械式時計の動力源は、熱や磁力の影響を受けづらい合金で作られた非常に強力な長尺の板バネを螺旋状に丸めたゼンマイである。それを収めたのが香箱、英語ではバレル(樽)。動力源のゼンマイはテンプのひげゼンマイと区別するため主ゼンマイと、香箱はそれ自体が歯車になっているので香箱車あるいは一番車とも呼ばれる。ゼンマイを巻き上げることで蓄えられた力は、ほどけることで解放され香箱を回し、ムーブメントを動かす。

香箱から主ゼンマイを取り出すと、予想以上に長い
香箱から主ゼンマイを取り出すと、予想以上に長い。これが長いほど、時計を動かせる時間も長くなる。上にあるのは、香箱とその蓋(香箱蓋)を分けた状態。
エベラールの「8デイズ」ゼンマイが巻き上がる様子が目視できる
エベラールの「8デイズ」のように香箱をオープンワークした時計では、ゼンマイが巻き上がる様子が目視できる。左は完全に巻き戻った状態。リューズを巻くとゼンマイは徐々に中心に集まってくる。右はフルに巻き上がった状態で、8日間時計を動かし続ける。

香箱のしくみ

ゼンマイのほどける力が時計の動力源に?

ゼンマイは、15世紀から時計の動力源として長く使われてきた。渦巻状の板バネがほどける力で動くから、電気も燃料も必要がない。





外側終端が香箱を押し回す

巻き上げ輪列の機構図
リューズによる巻き上げ輪列の角穴車は、取り付けられた香箱真だけを回す。香箱の回転に影響を与えないので、時計が動いていてもゼンマイを巻き上げられる。

香箱の中心には香箱真が取り付けられていて、その側面の突起にゼンマイの内側終端が引っかけられている。上は、巻き上げ輪列の機構図。香箱の上に載る角穴車は香箱真に取り付けられていて、リューズを回すと香箱真が回ってゼンマイを巻き取り、力を蓄える。

香箱の構造図
香箱と香箱真は、連結されていない。香箱真はゼンマイを巻き上げるときにだけ回り、巻き戻る動きには追随しないので、外側終端が香箱を押し回すことができる。

一方ゼンマイの外側終端は、香箱の内側に固定されているため、ゼンマイがほどけると終端が香箱を押し回す。両端が固定されているから、限界まで巻き上げると、リューズは動かなくなる(巻き止まる)のだ。

自動巻きは、着けていると常に巻き上げてしまう。そこでゼンマイの外側終端は香箱の内側に板バネのような部品で押し付けた状態とし、限界まで巻き上がったらスリップして巻き上げ力を逃がしている。

 

もっと知りたい方はこちら!

腕時計のしくみ 表紙画像

『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』
特別定価 :1,980円(税込み)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
購入は こちら

※表示価格は本書発売時(2022年12月18日現在)の税込み価格です

2025

VOL.345

Spring

  1. 2
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
  • Facebook
  • X
  • Instagram
  • YouTube
  • Facebook
  • X
  • Instagram
  • YouTube
pagetop