ムーブメントのしくみ
基本輪列のしくみとは?
動力を伝達するために、歯車を組み合わせた構成を輪列と呼ぶ。基本輪列は時計を正しく動かす、文字通り基本となるユニットだ。
[基本輪列の役割]

上の写真は、最も基本的な構造を採る機械式ムーブメントの一例。香箱(=香箱車)はゼンマイを収めた中空の筒状の歯車で、機械式時計の動力機構。その回転は二番車、三番車、四番車の輪列で伝達される。そして四番車が動かすガンギ車と、それと組み合わされるアンクルからなるのが輪列全体を制御する脱進機。テン輪にひげゼンマイを組み込んだものはテンプと呼ぶ。アンクルの動きによりテンプは振動し、その振動で各歯車の回転が調速される。

基本輪列のしくみ
機械式時計のこれが基本原理?
ゼンマイによる動力を輪列で伝達し、テンプの振動と脱進機とで調速・制御する。この原理でほとんどの機械式時計は動いている。
動力伝達と制御が往復する

記事内上にある[基本輪列の役割]写真の基本輪列のしくみは、このように図示できる。
中に収めたゼンマイが巻き戻ることで、香箱は回る。輪列機構の各歯車は、同じ軸上に組み合わされたカナという小さな歯車に噛み合い、上下に重ねることで省スペース化を図っている。また大きな歯車で小さなカナを回すため、回転は順に速まる。ゆえに増速輪列とも呼ばれる。図のような基本的な構造の場合、香箱の回転は、二番車では1周60分に、四番車は1周60秒に増速される。
輪列機構により駆動力はガンギ車のカナに至る。ガンギ車はアンクルを動かし、その動きに準じてテンプが振動。と同時に、アンクルはテンプの振動周期に合わせてガンギ車を止める・進めるを繰り返し、すべての歯車の回転速度を正確に制御する。
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