
M.E. 具体的にはどのようなことに取り組まれているのでしょうか?
ジュルミー氏 ブドウ農家さんからブドウを購入してワインづくりを行うのが一般的なプロヴァンスでは、通常「テロワール」について語られることはありません。しかし、シャトー ガルペでは、100%自分たちの畑でブドウを作ることができます。ですから、ブドウの木を植え替えるとともに、現在、ブドウの木を抜いた後に土壌調査を行っています。そして、その土壌に適したブドウの改植をこれから10年かけて、畑全体で行っていく予定です。
M.E. 畑やワインの味にすでに変化は出ているのでしょうか?
ジュルミー氏 そうですね。すでに様々な野鳥がこの土地に戻ってきています。また、希少な在来植物や90種類以上もの動物も森では確認されています。さらに、200個の養蜂箱を敷地内に設置しています。ミツバチからとれるプロポリスは、強い殺菌効果があり、畑に還元することで、畑自体を守ってくれるのです。

M.E. 畑を一から作り直す、ブドウの木を植え替えるというのは大きな決断ですね。
ジュルミー氏 シャトー ガルペでは社会的責任を重視し、さらに与えられた機会を最大限に生かすことを理念にしています。歴史あるメゾンと異なり、ゼロからのスタートだからこそ、大胆なことができるのです。特にプロヴァンス地方は日照時間も長く、乾燥した気候ですから、オーガニック農法には適していると思います。実際に周囲の農家さんとも情報交換を行い、オーガニック農法は広まりつつあります。
M.E. ワインの製造工程や使用するボトルなどもサステナブルを意識しているのでしょうか?
ジュルミー氏 現在も建築の専門家と一緒に、どうすればサステナブルなワイナリーを作れるか、議論をしています。まず目指すのはカーボンニュートラル。さらに、水資源も大切にしていく予定です。また、シャトー ガルペのワインは熟成にも耐えられるワインです。ですから、ボトルはガラス製にこだわりました。
M.E. ボトルのデザインや色味も特徴的ですね。
ジュルミー氏 普通であれば、ワインの美しいロゼ色を楽しんでいただけるように透明ガラスを採用するところですが、私たちのボトルでは再生素材が70%含まれるものです。見た目よりも環境第一で決断しました。また、デザインについては、シャトー ガルペに残されていた月の紋章をモチーフに、自然や森、そして地中海を描いています。

M.E. 軽やかではありますが、骨格がしっかりとした味わいのロゼワインですが、どのような楽しみ方がおすすめですか?
ジュルミー氏 日本には豊かな食文化があります。ぜひ、様々な日本の食と合わせていただきたいですね。先述のように、クラフトマンシップあふれるワインですので、そうしたつくりのこだわりも理解していただけると嬉しいです。
現在、シャトー ガルペのワインで使われるブドウは畑全体の10%。この先、徐々に畑の整備が整えば、「シャトー ガルペ クリュ・クラッセ」だけでなく、様々なワインが誕生するかもしれない。サステナブルであることにこだわった造り手の確固たる意志と豊かな大地から生み出されるシャトー ガルペのロゼワインは、美味しい食事のよき伴侶として、食卓を彩ってくれることだろう。

「シャトー ガルペ クリュ・クラッセ ロゼ 2021」
3年にわたる土壌分析、オーガニック栽培で作られたブドウの木から生まれたロゼワイン。グルナッシュ、シラー、ロール、サンソー、そして希少なティブランをブレンドし、豊かなアロマと芳醇な味わいを醸し出す。
7480円(MHD モエヘネシーディアジオ)
https://www.mhdkk.com/brands/chateau_galoupet/
※表⽰価格は税込み