1000万円オーバーの高級車はどうして生まれるのか【ポルシェ編】

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RRレイアウトでライバルと戦い続けるポルシェ

1989年から生産された964型の911
写真は1989年から生産された964型の911。911のエンジンは当初空気でエンジンを冷やしていたため、この時代のモデルを「空冷ポルシェ」と呼び、1997年に発売された5代目の996以降は冷却水でエンジンを冷やすようになったので「水冷ポルシェ」と呼ばれている。

911は1964年にこのRR方式を採用して誕生。RR方式は祖先の356から継承しており、ポルシェがRR車を販売したのは1940年代からになる。この当時、スポーツカーにとってRR方式は決して悪い選択肢ではなかった。むしろ、有利とさえ言われた。しかし、そこから時が経ち、様々な技術が進化すると、FFやFR、MR、4WD技術など様々な発展を遂げ、気付けばRRは「スポーツカーには不向き」という流れになっている。

当然ポルシェも一度はFR化を進め、舵を取ったが、ファンはそれを許さなかった。「FRはポルシェではない」「RRのあやうさがあってこそのポルシェ」となり、結局ポルシェはRRのまま進化することを決断したのであった。

しかし、現在RRの市販車がほぼないことから分かる通り、現代RRでクルマを作ること、ましてや高性能スポーツカーを作るのはイバラの道。しかし、ポルシェはそれを貫き通し、世界に誇れる高性能スポーツカーシリーズを常に作りづけているわけだ。

不利な環境であってもそれを技術力でカバーし続けているポルシェ。その象徴が911シリーズだ。

自動車好きの間には「最新の911が最良の911」という言葉が浸透しているが、これは常に新しい911が出る度に、古いモデルを上回るポルシェの凄さを讃えているフレーズなのだ。

「新しいモノが古いモノより優れているのは当然では?」と思う人もいるかもしれないが、自動車に関しては必ずしもそうではない。安全性を求めてクルマが重く、大きくなったり、燃費を良くするためにエンジンが小さくなったり、快適にするために様々な装備が追加されて使いにくくなったりと「昔のモデルのほうが良かった」と評価されるケースは意外と多いのだ。

8世代目に進化した992型
現在は8世代目に進化して型式は992型となっている。丸目ヘッドライトやRRレイアウトを受け継ぎ、誰が見ても一目で911と分かるデザインとなっている。現在販売されている911の新車価格は1503万円〜。

しかし、911は8世代にわたり進化を続けていますが常に顧客を満足させ続け、スポーツカーの象徴とも言える評価を世界中から集め続けているわけだ。

カイエン
現在はラインナップを拡大し、SUVに写真のカイエン、ひとつ小さいマカンがあり、セダンやワゴンのあるパナメーラ、2座スポーツのボクスターとケイマン、そしてEVモデルのタイカンがラインナップされている。RRレイアウトは911だけだが、操る楽しさや走行性能の高さはしっかりとポルシェ車らしく仕上げられ、世界で順調に販売台数を伸ばしている。

もちろん他にもスバルとポルシェだけが生産している水平対向エンジンなど、ポルシェの魅力はたくさんあるが、大元になるのはやっぱりポルシェエンジニアによる高い技術力、ゆるぎないRRというアイデンティティ、そしてそれらが生み出す高性能なプロダクトに集約されているのだ。

構成・文=iconic

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