不利なエンジンレイアウトがアイデンティティに

高性能スポーツカーの代名詞として広く知られているポルシェ。その中心であり中核モデルが911と呼ばれるモデルだ。前回のフェラーリに続き、今回はポルシェ、特に911に関して解説していきたい。
911というクルマの大きな特徴は、RR(リアエンジン・リアドライブ)という駆動方式にこだわり続けている点。
現在の多くのクルマが採用しているのはエンジンと駆動輪という重いセクションを前に集約するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)というもの。メリットはクルマの真ん中、後方にスペースが空くので車内や荷室が広くできる。だが、前が重すぎるため操作性は他のレイアウトのものに劣るという弱点も。

次に多いのがエンジンを前、駆動輪を後ろにしたFR(フロントエンジン・リアドライブ)。これは重量の前後バランスが優れているため、スポーツ系のクルマに多く採用されるが、FFよりも複雑な分パーツ点数が多くなり、価格が高くなってしまうデメリットがある。
さらに走行性能を高めるためのレイアウトがMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)で、これはエンジンを車体の中央にレイアウトする。クルマの重心が中央にくるため操作性に優れるが、エンジン搭載位置が中央のため、乗員は2名のみでシートのすぐ後ろにエンジンが乗るため一部のスーパーカーなどだけが採用するのみになっている。

そして911が採用するRR。これは後ろにエンジン、駆動輪を集めるもので後ろが重く加重が駆動輪にかかるため加速性能が高い、フロント側が軽いのでブレーキ性能が高いなどのメリットがある。デメリットはFFの逆で、重い部分が後ろに集まるのでバランスが悪く、特にコーナリング時に独特の挙動をするなどがある。