
今回、「ガーデン・ガストロノミー」の舞台となったのは日本で唯一、ポロ競技ができる農場、北海道ホームファーム。ゲストが野菜を収穫し、ガーデンから直接、食卓へ。母なる大地のパワーと天候の恩恵を受けて、丁寧に育てられた採れたて野菜をシェフがその場で調理する。この日ばかりは新鮮な野菜がメニューの主役なのだ。そして、収穫から調理まで、一切の無駄が無い、そのプロセスは新たなサステナブルの形ともいえよう。

今回、料理を担当したのは、和歌山にある「ヴィラ・アイーダ」の小林寛司シェフ。迎えるゲストは一日一組のみ、レストランのそばにある自家農園で採れた野菜をその日その日のコンディションに合わせてメニューを組み立てる小林シェフ。まさに、今回の「ガーデン・ガストロノミー」にこれ以上うってつけのシェフはいないだろう。

「ガーデン・ガストロノミー」に並ぶ料理は、ラ・グランダムの味わいを念頭に置きながらも、採れたての野菜を中心に組み立てられたメニュー。“私たちの黒ブドウは、最高の白ワインをもたらします”という言葉を残したマダム・クリコ。ピノ・ノワールへの愛情を形にした「ラ・グランダム」の味わいは複雑味と奥行きを持ち、そのスタイルは力強く、豊かな余韻を残してくれる。


まずは、温暖な陽気のもとで育った成熟度の高いブドウ、しかも90%がピノ・ノワールをブレンドという非常に力強くエレガントな味わいに仕上がったラ・グランダム2012。こちらはジャガイモや百合根、根セロリを使った前菜と合わせた。


そして、ラディッシュやハーブ、柚餅子で彩った採れたてのトマトには「ラ・グランダム ロゼ2012」を。ピノ・ノワールが90%を占め、グラン・クリュ・ブージーの区画クロ・コランの赤ワインをブレンドした、フローラルで果実味の強い、美しさと力強さを兼ね備えたロゼ。複雑な香りをまとったトマトとベストマッチ。


アスパラガスと採れたて野菜によるサラダには、ラ・グランダム1990のマグナムボトル。日照時間が非常に長い歴史的な年とされ、30年以上の熟成を経たシャンパーニュ。焼き菓子のような香ばしさ、完熟したドライフルーツのニュアンスが漂い、芳醇でシルキーな雰囲気を楽しめる圧巻の味わいが、青々とした香りのグリーンサラダを引き立てる。


天・地・人が造り出した野菜、そしてグラン・クリュの畑で育ったブドウから造られた極上のシャンパーニュ。「モノ造り」への情熱と地球を想うサステナブルという思いをかけ合わせて実現した、自然のエネルギーと人間のパワーのマリアージュが、未来に向けた新たなる価値を生み出した。
取材=田上雅人(編集部)