最も身近な複雑時計であり、デザイン性も高く、メカ好きからファッション好きまでを魅了するクロノグラフ。そんなクロノグラフ180本を紹介するバイヤーズガイド『超本格クロノグラフ大全』から、その中身をピックアップしてご紹介。
【注目のクロノグラフ】
トノウ カーベックス クロノグラフ
FRANCK MULLER(フランク ミュラー)

ブランドの代名詞的モデルはクラシックなビザン数字がおすすめ!
1979年にジュネーブの時計学校を主席で卒業し、卒業後は独立時計師としてオリジナルの時計製作を開始したフランク・ミュラー。’86年に独自機構のトゥールビヨンを搭載したレギュレーターモデル、その後もトゥールビヨン+ミニッツリピーター+パーペチュアルカレンダー、スプリットセコンド・クロノグラフ+トゥールビヨンなど、複雑機構を満載した世界初の腕時計を次々に発表し、いちやく時代の寵児となった。
そして1980年代半ばに、ある女性コレクターから「あなたの技術は素晴らしいわ。でももっと違うデザインの時計を作ったら? 古めかしい丸型じゃなくて、自分のデザインで」と言葉をかけられる。これに奮起して作り上げたのが、3次元曲線の「トノウ カーベックスケース」だ。トノウ(樽)型で、全体が湾曲したカーベックス状のケースは、1920年代のアールデコ時代からあった。しかし、これが斬新なのは3次元曲線の立体的フォルムを擁すること。時計が球体の一部というイメージを具現し、ケース上に直線はいっさいなく、あらゆる面が緩やかにカーブした状態となる。ケースに合わせ風防も3次元曲線の「トノウ カーベックス」は、アールデコを踏襲しつつも非常に現代的で、’92年に自身の時計ブランドを立ち上げるとたちまち象徴的な存在に。
その初期から人気を博すクロノグラフでは、繊細な波紋が連なったギョーシェにエナメルを施したフランケ装飾文字盤を採用。その上にはクラシカルな2カウンターとともに、控えめで上品なビザン数字のインデックスをセット。ムーブメントはチューンアップしたフレデリック・ピゲ製Cal.1185を搭載。こちらのケースは45×32mmと小ぶりで、腕もとにぴったりフィットする。古典的にしてアヴァンギャルドな3次元曲線のトノウ カーベックスは、このブランドでしか味わえない。
複数のサイズを用意し、5850は小ぶりで腕にフィット
トノウ カーベックスは、小ぶりからビッグサイズまでを用意し、サイズによってデザインや機能が少し異なる。縦45×横32mmの「5850」は、ほどよい大きさで装着感もよい。
