テンテケテケテケ、テンテン、パフッ♪えー、毎回コンサバなアイテムをお題にいただきましてあれやこれやとお洒落に説きます大人のコンサバ大喜利。いい答えには座布団さしあげて。

お題/サウスウィック
「サウスウィック」とかけて今年の年賀状と解く。そのココロは?
米国の「サウスウィック」の工場が新型コロナウイルスの煽りを受けて閉鎖。
さかのぼること2年前。その衝撃のニュースは、日本のアメトラファンの耳にも届いた。
メイドインUSAを貫く希少なテーラリングファクトリーとして、「ブルックス ブラザーズ」をはじめ多くのアメトラブランドのОEMを手掛けてきたサウスウィックがなくなってしまうのか。正統派のアメリカントラディショナルを貫くナチュラルショルダーのブレザーやスーツはもう生産されないのか。
このアメトラ最大の危機を救ったセレクトショップがいた。『シップス』である。
シップスもまた、メイドインUSAが売っていなかった時代に上野アメ横のわずか数坪のインポートショップからスタートしたセレクトショップだ。彼らの、メイドインUSAとアメトラに懸ける熱い思いはどこにも負けない。これは、日本のセレクトショップがアメトラの老舗ファクトリーブランドの再建に挑んだ物語である。
だが、日本のセレクトショップのシップスが、1929年にマサチューセッツ州で創業した1世紀近くの歴史がある米国のファクトリーブランドのサウスウィックの名を受け継いで、メイドインUSAのアメトラを復活させる道は容易ではなかった。
折しも『TAKE IVY』や『AMETORA』が米国でも出版されるなど、時代はアメトラブーム。米国の某シャツメーカーもサウスウィックの買収に名乗りを上げてきた。
メイドインUSAとアメトラに懸ける熱い思いではどこにも負けないとはいえ、さすがに競争相手がアメトラの本場のメーカーでは、到底太刀打ちできない。勝負はあったかに見えた。
だが、ドラマは起こった。シップスはメイドインUSAにこだわりサウスウィックのアイテムを毎シーズン買い付けていた。その長年に渡る信頼関係と、創業地でありアメトラの発祥の地であるニューイングランド地方の文化や歴史、モノづくりを継承していきたいという熱い思いに応えたサウスウィックは、米国のメーカーではなく日本のセレクトショップを選んだのだ。
こうして、この春からまたシップスで、メイドインUSAの新生サウスウィックのブレザーが買えるようになったのである。
えー、ヘタレアメトラな座布団運びの担当ハシモトくんが鼻息を荒くして「大ニュースです! 閉鎖したサウスウィックがシップスで復活するんですよ!」と言うんで、ちょっと『プロジェクトX』風に書いてみたんですけども、どうでしょう。中島みゆきの『地上の星』を歌いながら読んでみてください。少しは感動するかもしれませんよ。
まぁ早い話が、世界でいちばんアメトラが好きなのはアメリカ人じゃなくてワレワレ日本人だっていうことですな。
ということで今回のお題は「サウスウィック」であります。サウスウィックとかけまして、今年の年賀状と解きます。そのココロは、「アメトラと寅年。どちらにもトラがいます」。
おーい、ヘタレアメトラのハシモトくん、感動して泣いてないで座布団3枚運んできなさい。

[MEN’S EX 2022年4月号DIGITAL Editionの記事を再構成]