自然の恵みが珠洲のベーシックインカム
岡崎 じゃあ当たり前ですけど、Uber Eatsもない?(笑)
岩城 それなんですか? って感じですね(笑)。そういうサービスはないけど、数日前も2軒隣のおばちゃんが「鰤の南蛮漬け作ったから持って行くね」って。そういう別の文化があるんです。Uber Eatsって誰かが中心になって効率的に欲しいものを流通させる、いわゆるシェアリングエコノミーですが、実はここにはもうその仕組みがあるんですよ。
平澤 「カタチの違うシェアリングエコノミー」ってやつですね?
岩城 例えば鰯の時期になると町中に鰯が溢れます。「鰯とれたからあげるね」「そんなにいらないから他の人にあげるね」みたいに。そうすると各家庭に10匹ぐらい鰯があることになる。この前も家を3時間ぐらい空けて、戻ったら家の前に大根が3本並んでいました(笑)。ここは今、資本主義が抱えている問題からは隔絶されているんです。今、政府が新しい資本主義みたいな話をして、そうするとベーシックインカムの話がでてきたりする。でもここってある意味もうベーシックインカムがあるんですね。魚を海で獲る、キノコを山で採る、自分の土地で野菜を育てる。そういう権利を持っているんです。
岡崎 そういうお話を聞くと確かに気づかなかった魅力がありますね。
岩城 そうなんです。東京の千代田区に住んでいる人って世帯年収は840万円ぐらいなんだそうです。対して珠洲市は440万円。でも東京に住んでいる840万の人が年間で貯蓄できる額って年間で40万円ぐらいと言われていますが、珠洲市は180万円の貯金ができるんです。わざわざ都会でシェアリングエコノミーとか、政策でベーシックインカムとかやらなくてもここにはそれがある。
岡崎 海や山の恵みがベーシックインカムとしてここにあるっていうのはとても素敵な話ですね。千代田区に住んでいてもそれほど恵みはありませんからね…。


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