
工房は作業担当ごとに机を一列に横に並べて、順番に工程が進んでいくレイアウトに。窓際の手前に各作業のリーダーが着席している。例えばヒゲゼンマイの調整を担当する匠は、てんぷを回転させながら、その様子を顕微鏡で観察して調整点を見極め、ピンセットを差し入れして微調整を行う。ヒゲゼンマイのバランスが均一に整うと、回転させた時にきれいな光の波紋が広がる。これもすべて手作業! ゆえに、職人の経験と技量が問われる。ゴールドマイスターに認定された職人の手元をガラス越しに見られるのも貴重な体験だ。

グランドセイコーの機械式腕時計は、平均日差-3~+5秒、検定姿勢数は6姿勢など、独自の厳しい検定規格を課しており、これはスイス公式クロノメーター検定機関のC.O.S.C.(The Contrôle Officiel Suisse des Chronomètre)の検定規格よりも厳しい内容となっている。そしてその検定には17日間もの日数を要する。

また、2階のラウンジでは、作業台を模した撮影スポットや、GSの実機を手に取って見ることができる。ローターに“Shizukuishi Limited”と刻印された、グリーンダイヤルのスタジオオリジナルモデル「SBGH283」(写真下)はここでしか買えないレアモデル〈1人1点まで。72万6000円〉だ。


一連の展示や作業工程を見ることで、GSが性能、精度、品質、革新性、耐久性といった時計の本質を追求した機能的価値、日本人の美意識や精神性を表した感性的価値、その両方を大切にして出来上がっているということを肌で感じることができるだろう。