
乗ればすぐに分かるアウディらしいスポーティさ
e-tron GTから試してみた。路面に張り付くようなクルージング感覚は電子制御シャーシが超優秀なA8ロングホイールベースモデルによく似ている。全高が低くしかもワイドなスタイルゆえ、重厚感ではA8さえも上回る。重いバッテリーを床下に積んだBEVゆえの低重心フィールというわけだが、数値ほどに重く感じないのは、シャーシ制御が上手く働いているからだろう。ステアリングフィールにも落ち着きがあり、街中での乗り心地も良く、そういう意味ではまるでスポーツカーライクに走るタイカンとは一線を画すキャラクターの持ち主で、アウディらしい走りというべきだ。
加速フィールは流石にEVだった。踏み込むと同時にトルクの波に襲われる。右足の動きに対するレスポンスの速さが凄まじい。しかも、ただ速いだけじゃない。加速対決ではテスラモデルSに負けるかもしれないが、シャーシの完成度はe-tron GTが圧倒的に高く、安心感がある。制動に関しても同様で、BEVに限らずクルマというものは「走る・曲がる・止まる」の総合性能で判断しなければならないというわけだ。
400万円高いRS e-tron GTはどうだったか。スペック的にはさほど変わらないように見える。一体どこでそんなにも価格差がつくのだろうか。そんな疑問を抱きながら試してみたが、走り出した瞬間に「まさにクワトロRSだ!」と思えたのだから、400万円高の意味もあったというべきだろう。
試乗車はエアサスペンション仕様で、後輪操舵も備わっていた。乗り心地はノーマルグレードに比べて明らかにソリッド&フラット。四肢の踏ん張りが乗り手へダイレクトに伝わってきた。4本のタイヤの存在が明確で、そのうえステアリングフィールは機敏だったから、車体の幅を狭く感じてしまったほど。ドライブ中にはRSの方がサイズも小さく感じられた。タイカンのキャラに近づくとも言えるだろう。
今月の1台 Audi e-tron GT quattro(画像4枚)

車両価格 1399万円〜
お問い合わせ先
アウディ コミュニケーションセンター TEL 0120-598-106
[MEN’S EX 2022年3月号DIGITAL Editionの記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み