マンション住まいでEVをアシにしてみたら、EVの課題があれこれ見えてきた

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コンパクトEVはシティコミューターに

プジョー e-208のメーター

でも、こうした結果でもって「EVはマンション住まいや都市間移動には向いていない」とは結論づけられない。欧州Bセグメント格のハッチバックはやはりシティコミューター的な使われ方が前提で、乗り方として都市間移動が頻繁になるのはそのひとつ上、Cセグメントからなのだ。だからCセグのバッテリー容量と車両重量のバランスは難しく、車種的にもまだ日本に導入されていないボルボC40、シトロエンë-C4を除けば、VWの先代E-ゴルフやマツダMX-30、レクサスUX300eぐらいしか思い当たらない。むしろBセグより小さな、軽自動車まで含む街乗り中心の車格こそ、実用途的にもコスト的にも早急にコモディティEV化される可能性はある。

だからこそ今のところ、75kWh容量以上の大きなバッテリーを積めるような、Dセグ以上をメインにするEVメーカーは、自前で高規格の急速充電ネットワークを拡げられるプレミアムブランドに限られている。公共のインフラ頼りでは、いつまで経っても満足のいくサービスが得られず、誰がそのサービスを提供するのか? という話だからだ。よってテスラがスーパーチャージャーを展開し、ポルシェ タイカンやアウディe-tron GTを擁するVWグループが150kWh出力の急速充電ステーションの整備に着手しているのは、理に適っている。

プジョー e-208のお膝元たるフランスでは来年から、1.8トン以上の新車については、超過1㎏ごとに10ユーロを徴収する重量税が始まる。ただしEVやPHEVは完全に対象外で、他車より並外れて重くてICEで走る比重が高くCO2排出量の大きいクルマ、つまりMHEVのSUVを狙い撃ちで制限する措置だ。いわば振動の少ないEVで、予定外の待ち時間もなくグランドツーリングをこなせるのは、いまだ「新しいラグジュアリー」といえる。だからこそ出力規格や充電インフラの整備は、競争のただ中にあるのだ。

文・写真=南陽一浩 編集=iconic

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