SUVの王道たるランドローバーが誇るバランス型の人気シリーズ

快適な乗り心地と高い悪路走破性能、3列シートまで備えた死角なきSUV
ランドローバーのルーツは、メルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラーと同様に軍事車両にある。戦後の1948年に当時のイギリスのローバー社がオフロード車両「ランドローバー・シリーズⅠ」を開発。これが“ランドローバー”の始まりだった。そしてこのモデルがのちにディフェンダーと命名される。
ランドローバーは、これまでの歴史において幾度も親会社が変わる変遷をたどってきたが、“イギリスの4WD専業メーカー”という立ち位置は現在に至るまで一度もブレたことがない。1970年には、オフロード性能に加えて、ラグジュアリー性を高めた“砂漠のロールス・ロイス”の異名をもつレンジローバーを生み出す。いまやその本家ロールス・ロイスが自らSUVをつくる時代になったけれども、レンジローバーは4代目となったいまなお世界の高級SUVのベンチマークといえる存在だ。
そして、ディスカバリーは、フラッグシップモデルのレンジローバーとオフロード重視のディフェンダーとのあいだを埋めるランドローバー第3のモデルとして1989年に初代がデビュー。当時から3列シート7人乗り仕様を設定しており、ファミリーSUVという役割も担ってきた。
どんなシチュエーションでも頼もしく快適
最新のディスカバリーは、2017年に登場した5世代目モデルだ。レンジローバー譲りの車体骨格、アルミモノコックを採用することで大幅な軽量化を実現。デビューから約4年を経て初のマイナーチェンジが実施された。
内外装に手が加えられたことをはじめ、エンジンラインナップを一新。かつては3ℓV6のガソリン&ディーゼルだったが、電動化の流れをうけ最新の48Vマイルドハイブリッドを採用した3ℓ直列6気筒ガソリン&ディーゼルの2本立てとした。
エクステリアは、LEDヘッドライトやテールライト、フロントグリル、バンパーのデザインなどを変更。ヘッドライトのデイタイムライトがライトの下辺を縁取るようなデザインとなり、またフロントグリルはハニカムメッシュパターンを採用している。またフロントグリルをブラックアウトし、バンパーにもスリットを加え、大径ホイールを装着するR-DYNAMICというグレードを追加設定している。
インテリアも大幅にアップデイト。11.4インチの大きなタッチスクリーンをセンターに据え、車載AI技術による自己学習型ナビゲーションをはじめコネクト機能を強化した最新インフォテインメントシステムを標準装備。従来モデルではアナログ式だったメーターパネルは液晶に、ステアリングホイールもスポーク右側にADAS(先進運転支援システム)操作系を、左側にインフォテインメント系のスイッチを配した新デザインになった。
シート素材にはエボニーラックステックというテキスタイル素材とスエードクロスを組み合わせており、いまどきのモダンな雰囲気を醸し出している。ボルボなどは2025年以降は内装への本革の使用をやめ、リサイクル素材の比率をあげていくと宣言しており、今後は各社もそういった動きを加速させていくことになるのだろう。
またこの新型では2列目シートの形状を変更。シートクッションの角度や厚みを改善し、7人の乗員が快適に過ごせる空間をさらに拡大。これまでオプション設定だった3列目シートを標準装備にしている。SUVの3列目シートというと、その多くが子供向けかエマージェンシー用だが、ディスカバリーは、3列目でも身長178cmの男性が無理なく座れるスペースを確保するフル7シーターSUVとしての機能をしっかりと確保している。
安全面では3Dサラウンドカメラをはじめ、アダプティブクルーズコントロールなどのADASもアップデイトし、こちらも標準装備化した。