
往年の名車を思い出させる独特なドライブフィール
インテリアには、DSオートモビル独自の世界観が広がっている。ダッシュパネルにはひし形のステッチが施されたレザーを用いており、メーターやモニターのグラフィックなどにもひし形のモチーフを取り入れている。これらは、1920年代にフランスで生まれたアール・デコ様式をオマージュしたものという。センターコンソール中央に配された8インチのタッチスクリーンにも、ひし形が彫り込まれたボリュームダイヤルなどが備わり、スクリーンの上部にはフランスのラグジュアリーウォッチブランド、B.R.M製のアナログ時計が配されている。
走行モードは、EV走行の「エレクトリック」モードがデフォルトとなっている。それ以外にもっともエネルギー効率のよい「ハイブリッド」モード、快適な乗り心地をもたらす「コンフォート」モード、内燃機関のポテンシャルを引き出す「スポーツ」モード、前後のモーターを独立して制御しトラクションを最大化する「4WD」モードと、計5つの設定がある。
特にDSらしさを発揮するのがコンフォートモードだ。カメラで凹凸など前方の路面状況をセンシングして、画像解析を行い、それに合わせてサスペンションを自動制御するDSアクティブスキャンサスペンションという最新機能が備わっている。かつてシトロエンDSの時代には、ハイドロニューマチックサスペンションというシトロエン独自の機構による浮遊感のある乗り心地が、多くのシトロエンファンを魅了したが、それの現代版というわけだ。また4WDモードでは、エンジン車のように前後軸をプロペラシャフトでつなぐ機械的結合がなく、前後のモーターを別々に制御することが可能で、路面状況やドライバーの操作に対してリアルタイムで駆動力が最適化される。
バッテリー残量が十分であれば、EV走行で最高速度は135km/hに到達する。EV走行中にエンジンが始動しても突然ブルンと震えるような違和感はなく、切り替えは実にシームレスだ。高速道路を走行する際はエレクトリックかハイブリッドモードにしておくといい。コンフォートモードよりもダンピングがきいており、独特の浮遊感と重厚な接地感という相反するような要素を兼ね備えた、これぞDSというべきドライブフィールが味わえる。
DSオートモビルとは、シトロエンDSから受け継ぐ独創的なデザイン性やドライブフィールを、革新的な技術によって現代に再構築している、ヘリテージとアヴァンギャルドというふたつの要素が内包するブランドだ。そしてDS 7 クロスバックは電動化によって、さらなるラグジュアリー性と心地よいスポーティネスの両方を手に入れた。DSではこのドライビング体験を「Dynamic Serenity(静謐なるダイナミズム)」と定義づけているというが、なかなかにうまい表現だと思う。
今月の1台 DS AUTOMOBILES DS 7 CROSSBACK(画像5枚)
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[MEN’S EX 2021年10月号DIGITAL Editionの記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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