
らしい90か、人気の110かアタマを悩ますところ
個人的には90のショートボディスタイルが好みだ。全体的なバランスもいい。サイズ的にも全長は4.5mで、これなら幅があっても取り回しはラクだ。とはいえ一般的には110の方に人気は集まるだろう。3ドアより5ドアというのが何事につけ心配性な日本人の好みというもの。ファッショナブルに乗るなら絶対3ドアだと思うが。
110を選ぶならディーゼルターボ搭載のD300を薦めたい。最大の魅力は燃費。ガソリン車だとせいぜい9km/ℓというところが、ディーゼルの高速道路モードなら軽く12km/ℓを超える。フルサイズSUVとしては優秀な数値だ。燃費が3割よくて燃料代も2割は安い。ガソリン価格が高騰する今、無視できない差である。
燃費の良さだけじゃない。最大トルク650N・mと、ガソリンの400N・mに比べて明らかに強力なスペックもまた、その走りに多大な好影響を及ぼしている。この二点だけでも、ちょっと価格は張ってもディーゼル・ディフェンダーを積極的に選ぶ理由になるというものだが、D300の魅力はそこにとどまらなかった。
微速域から高速域まで乗り手の足腰で感じるドライブフィールがP300よりも濃厚で奥深い。ディーゼルとは思えないほど静かに走り出し、アクセルペダルの踏み込みに対する車体のレスポンスも良く、まったく大きさを感じさせない。心臓がようやく大きな身の丈に合ったという感じで、とても運転しやすいのだ。
踏み込んでからの加速フィールも素晴らしい。音だって唸りはするが嫌味はない。不快な振動もない。その上でディーゼルらしく低回転の巡航性能を見せるから高速道路を使った長距離ドライブはめっぽう快適。何せ100km/hで1300回転しか回っていない。グランドツーリングを楽に感じさせる要因の一つはエンジン回転数で、当然ながら低ければ低いほどドライバーは疲れを感じない。
大きなSUVを駆って積極的に行きたいとは思わないようなワンディングロードでも試してみたけれど、低回転域から得られる強力なトルクのおかげで、これまたこのサイズのSUVとしては異例に意のままのドライブを楽しむことができた。P300でも車体の基本性能は同じだから悪くはなかったが、それでも重さを感じる場面がはある。それゆえ大きさを意識してしまう。
ディフェンダーのモノコックボディは、クロカンといえばラダーフレームだと信じて疑わない昔ながらのドライバーをも納得させる強靭さである。それが制御に優れたエアサスペンションと相まって、オフロード性能のみならず、オンロードでのドライブフィールにつながっているのだと思う。
今月の1台 LAND ROVER DEFENDER(画像5枚)
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[MEN’S EX 2021年10月号DIGITAL Editionの記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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