ARCHIESの特徴を徹底解説!

さてここからは、ARCHIESの作風を解説していこう。その特徴について、里和氏は次のように説明する。
「全体のイメージとしては、やはりハンツマンに共通するところが多いですね。サヴィル・ロウのテーラーは軍服作りに由来するところとそうでないところがあるのですが、ハンツマンは後者。シューティングやハンティングなどのスポーツウエアも古くから手がけていて、ある意味リアルクローズを出自とするテーラーなんです。ですので、実はその仕立てはサヴィル・ロウでも1、2を争うほど柔らか。私もそれにならって、品格ある構築感を演出しつつも作りはソフトにしています。芯地もハンツマン時代と同じものを使っていますね。そのうえで、胸ポケットの位置を若干低く設定したり、フロントカットをラウンドぎみにデザインしたり、ポケットのフラップやラペルのエッジ部分に丸みをもたせたりしているのが、私らしさかなと思います。着たときにはしっかり高揚感を感じられるけれど、あまり肩肘張らず気軽に手を伸ばせる服が理想ですね」
独自解釈も加えたサヴィル・ロウ・スタイル
カントリージャケットもARCHIESのスペシャリティ

ハンツマン仕込みのスポーツジャケットも里和氏の十八番。英国時代にたくさん手がけてきただけあって、非常に完成度が高い。
「いろいろなシーンで着られる服をご提案したいと考えていますので、カジュアルなジャケットにも力を入れています。私自身、ジャケットにジーンズといった服装で接客をさせていただくことも多いですね。仕事にも休日にも使えるジャケットのリクエストは大歓迎です。実はひっそり、ビスポークの5ポケットジーンズなんかも作っていたりするんですよ」

“100年前のスーツ”もビスポークできる

里和氏にはもうひとつ、ほかのテーラーにはない独自性がある。それが写真の「サックコート」だ。20世紀初頭に着用されていた洋服で、現在のスーツの原型とされている。ラペルの返り位置がかなり高く、フロントダーツなし。ウエストの絞りも緩い、まさに“袋”(Sack)のようなジャケットだ。実は里和氏、これを想像で作ったのではなく、当時の文献を読み解いて忠実に再現している。歴史的にも大変意義深い作品だ。
ちなみに写真の一着、生地も超スペシャル。なんと、フランスで作られたヴィンテージの“寝袋”を解体して得られたリネン布なのである。実はこの生地、「kaval」という知る人ぞ知るジャパンブランドとの協業によって調達したもの。9月18日〜9月20日に西麻布のショップ「yau.」(東京都港区西麻布2-16-1)で開催するオーダー会で注文を受け付ける予定だ。当然ながら数量限定なので、気になった方は早めのお問い合わせをおすすめする。

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撮影=椙本優子(YUKIIMI STUDIO) 構成・文=小曽根広光