“フェラーリ”ロゴが付くすべてのクオリティをアップさせる

2021年6月、まずはファッションの見直し、ということでフェラーリのマラネッロ工場で初めてファッションショーが開催された。パルジレリ、ジョルジオ・アルマーニなどでクリエイティブ・ディレクターを務めたロッコ・イアノーネを迎え、フェラーリ社自らがデザインを手掛けるようになった。
フェラーリのランウェイ(画像5枚)
つまり、今後は“フェラーリ・グッズ”のブランド化、高級化が図られるということ。今までのフェラーリのロゴ使用承諾を見直し、契約の半分を打ち切った。さらに今後、プーマ(スニーカー)、レイバン(サングラス)、リシャール・ミル(腕時計)のフェラーリとのダブルネーム商品は、ロッコ・イアノーネによる監修を必要とする。
奇遇にもフェラーリの大株主、EXOR(フィアット創業家一族が支配)は最近、エルメスが中国で立ち上げた高級ブランド「Shang Xia」の大株主になったほか、高級靴メーカー「クリスチャン・ルブタン」の株式24%を取得している。
フェラーリによるファッション界進出はまだまだ始まったばかりだが、決して副業ではなく“本業”としてとらえている。7年から10年以内にフェラーリ社の売上の10%をファッションが担うことを目指している。

そして、フェラーリ・マラネッロ工場の向かいにあるレストラン「リストランテ・カヴァリーノ」も大幅なテコ入れがされた。

2019年に営業をいったん終了しパリの有名建築家、インディア・マーダヴィによって改装されただけでなく、モデナでミシュラン三つ星レストラン「オステリア・フランチェスカーナ」を営む、マッシモ・ボットゥーラによりメニューが監修された。
フェラーリは高級自動車メーカーである、とともにライフスタイルを提供する会社である、という思想のもと、フェラーリのロゴが付くものすべてのモノのクオリティアップを目指し、新たな顧客層へのリーチを模索している。
高級スポーツカーメーカーとしての自身のポジションに甘んずることなく常に進化しようとするフェラーリ社の姿は、誰しもが見習うスタンスかもしれない。
ちなみにフェラーリの公式ストアには、まだ“かつて”のライセンシング商品の在庫があるようなので、お手頃なコラボ商品を手に入れるなら今のうち……かもしれない。
文=古賀貴司 写真=フェラーリ 編集=iconic