
グッドウッドが手がけた小児病院専用“EVカート”
ロールス・ロイスに「SRH」なるモデルが存在しただろうか? どこぞの大富豪が発注したワンオフモデル? なんて思いながら、ロールス・ロイスのプレスリリースを読み進めていくと、なんとも微笑ましい話題だった。

「SRH」はセント・リチャーズ・ホスピタルの略で、ロールス・ロイス本社があるグッドウッド工場にほど近い小児病院である。2017年、ロールス・ロイスは地域貢献の一環として、子供用のEVカートをワンオフで製作、寄贈していた。
同病院では手術室に向かうとき、退院するときなど、特別な場面で子供たち自らがEVカートのステアリングを握って“運転”してきた。「SRH」が納車される前は、“オモチャ”の電動ジープが用いられてきた。面白いことに、このEVカートの修理をロールス・ロイス社に依頼したことがきっかけで、「SRH」の寄贈の話に結びついた。
なんとロールス・ロイス社は、病院側からのEVカートの修理依頼を丁重にお断り…、しただけではなく、ワンオフで「SRH」の製作に取り組んだのだ。

ガラスファイバー製ボディはカーボンファイバーで補強が施されたもので、ブランドロゴ入りホイール、2トーンペイント、医療用ビニールを用いたシートなど、ロールス・ロイスならではの徹底ぶりで作り込まれた。
もちろん、ブランドのアイデンティティとも呼べるパンテオングリル、マスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」、そしてロールス・ロイスのバッジも備えている。ちなみにEVカートゆえに静粛性は抜群で、最高速度は一般的なロールスロイス車が250km/hなのに対して6.5㎞/hとなっている。
子供用のEVカートとはいえ、正真正銘のワンオフのロールス・ロイス車である。