ジャーマンプレミアムに劣らぬ走りと装備

パワートレインは、最高出力240ps、最大トルク350Nmを発揮する2リッター4気筒ターボエンジンを搭載。高速巡航時などの低負荷時には2気筒を休止するアクティブフューエルマネジメントを組み合わせている。スペックだけを見れば、とりたてて大パワーというわけではないが、10速になったオートマティックトランスミッションが、その存在を感じさせることなく精緻な仕事をする。したがってパワー不足を感じるようなシーンもなく、燃費性能ともうまく両立させている。
駆動方式はグレードによって異なり、「プラチナム」がFRの2輪駆動、「スポーツ」が4WDになる。タイヤサイズは前者が245/45R18、後者が245/40R19と1インチサイズアップとなる。

ドライブモードは、標準モードの「ツアー」をはじめ、「スポーツ」、滑りやすい路面に対応する「アイス&スノー」の3モードに加えて、スロットルやシフトプログラム、ステアリング、そしてエグゾーストサウンドを個別に設定可能な「マイモード」も選択可能。
4WDシステムは、「ツアー」では前後40:60、「スポーツ」では20:80とハンドリング性能を高め、「アイス&スノー」では50:50のスタビリティ重視にと、選択したモードにあわせて前後駆動力配分を最適化してくれるものだ。
ADAS(先進運転支援システム)も、もちろん充実。アダプティブクルーズコントロールや歩行者対応のフロントブレーキをはじめ、後進時にも衝突の危険を感知すると自動ブレーキが作動。駐車時はディスプレイに鳥瞰したような360度の映像を映し出す。
走行性能でも、装備レベルでも、環境性能も、安全性もジャーマンプレミアムと比較しても勝るとも劣らない。「アメリカ車は大きくて、燃費が悪くて、ふわふわしている」なんてのは昔話だ。ステアリング操作に対する反応もよく、全長5mに近いけれど、もっと小さなクルマを運転しているような感覚になる。

そしてプラチナムで560万円、スポーツで620万円という価格設定は、かなり競合優位性のあるものだ。惜しむらくは、右ハンドルの設定がないこと。ただし、ジャーマンプレミアムでも高価格帯モデルでしか左ハンドルの設定がなくなりつつあるいま、この価格で左が選べるのはかなり貴重なこと。高速はETCがあるし、歩道側で乗り降りできるし、歩道を歩く歩行者や自転車のことも認識しやすく巻き込みを抑止するといったメリットもある。左も悪くない選択だと思う。
文=藤野太一 写真=河野敦樹、ゼネラルモーターズ・ジャパン 編集・iconic