これはやはりスポーツカーなのだ

I-PACEは前後にモーターを搭載するAWD車でもある。最高出力は400ps、最大トルクは696N・m(71.0kg-m)という強力なスペックにプラスして0-100km/h加速はわずか4.8秒、最高時速は200km/hというパフォーマンスを発揮する。実際、少しアクセルを踏むだけでも十分過ぎるほどの加速Gが味わえる。少なくとも助手席に彼女や奥様が居るときは自制することをオススメする。
ユニークなのは前後モーターのスペックが全く同じことである。つまり前後それぞれ200psのモーターを搭載しこれを制御することで前述したパフォーマンスが出せるのだが、単なる“直線番長(古い)”でないのがI-PACEの凄い所だ。
基本的には同じ出力のモーターを搭載するが通常の走りではやや後輪側にトルク配分されている。ゆえに、というほどではないが、極めて自然なコーナリング、これが速度を上げても路面状況が変わっても素直に走れるのである。
FR的とかそういう難しいことではなく、ドライバーだけでなく、パッセンジャーに対しても常にスムーズなドライブフィールを与えてくれるのがこのクルマの真骨頂と言えるだろう。
そして車両自体もBEVにふさわしい静粛性を備える。車外からのノイズを低減させるためにフロントガラスへのラミネート加工なども施されている。
また静粛性とは相反する形になってしまうかもしれないが、静かすぎるのもどうか……というオーナーに対して「アクティブ・サウンド・デザイン」というユニークな機能が搭載されている。簡単に言えば電気的にサウンドを作り、直6か12気筒のサウンドを味わうことができるものだ。音作りに関してはなかなか上手いと思うが、少々「やり過ぎ」の感あり。いわゆるギミックゆえに最初は面白くてもそのうち飽きてしまうのではないかと思う。