驚きを持って迎え入れられた“衝撃”とも言える大幅値下げの理由

日本での発売開始から2年も経たない2021年2月17日、ちょっとしたニュースが業界を駆け巡った。
それがモデル3の「大幅値下げ」である。
現在のモデル3は
スタンダードレンジプラス(430km)
ロングレンジ(580km)
パフォーマンス(567km)
の3グレードを設定する。
グレード名の後ろの数値は満充電後の航続可能距離を示しているが、これはより実際の走行に近いとされるWLTPモードによるもの。ただ単純にこの数値通り航続距離が約束されているわけではないことは理解しておきたい。
ちなみにスタンダードレンジプラスはリアに、ロングレンジとパフォーマンスは前後にモーターを搭載することでパフォーマンスにも差が出るが、後述するようにBEVが持つ、アクセルを踏み込んですぐに高い加速力を発生させるという点ではベクトルは同じと考えて良い。
さて、今回の価格改定だが、対象となるのはスタンダードレンジプラスとロングレンジのみ、パフォーマンスは据え置きである。
その価格は
スタンダードレンジプラスが511万円→429万円(62万円プライスダウン)
ロングレンジは655万2000円→499万円(156万2000円!プライスダウン)
と、ロングレンジの値下げ額はホンダフィットのガソリンモデル(ベーシック)ほぼ1台分である。
数値が全てではないが、やはりこれだけの価格改定(値下げ)のインパクトは大きい。ましてや世界中で注目を集めるテスラの戦略モデルであればなおさらである。
ここまで価格が下げられたのは生産拠点を北米カリフォルニア州のフリーモント工場から中国に建設した上海工場に変えたこと、そして重要パーツであるバッテリーもEV向けとしては世界最大のCATL(中国)を筆頭にサプライヤーを変更した。要は輸送費やバッテリーの大幅なコストダウンの実現により、日本で販売されるモデル3は上海工場製になり、結果として今回の大幅値下げに繋がっている。安直な物言いだが、その点では日本のユーザーはラッキーだろう。