
走らせればより理解が深まるSクラスの上質さ
実際に試乗してみると、まずはその車内の静けさに驚かされることだろう。走行中のキャビンには、タイヤと路面が接触することで発生するロードノイズ、ボディが空気を切り裂くことで起きる風切り音、さらにはエンジン音などが侵入し、特に高速道路では車内がざわついて運転に集中しにくくなるだけでなく、騒音のせいで同乗者と会話を交わしにくくなることが少なくない。
しかし、Sクラスはこうしたノイズを効果的にシャットアウト。まるで高級ホテルのロビーで寛いでいるときのような静けさのなかに身を置ける。
また、乗り心地のよさも特筆すべきだろう。なにしろ路面からゴツゴツとした振動がほとんど伝わってこないうえ、大きくうねった道を走ってもボディは水平な姿勢を保ち続けるので、身体が揺さぶられることなく、とても快適だ。
また、自動車は一般的に前席のほうが乗り心地を快適にしていることが多いが、Sクラスの場合は前席と後席で互角か、むしろ後席のほうが快適に感じられるくらい。この点こそ、ハンドルは運転手に任せ、自分は後席に収まって寛ぐ世界中のVIPから愛される所以といえる。
運転手付きで使うクルマのことをショーファードリブンというが、一般的にショーファードリブン用のクルマは運転していて退屈なことが多い。ところが、Sクラスはこの点でも例外で、ハンドルに無用な遊びがないうえに動作が正確で、市街地や高速道路だけでなく、ワインディングロードと呼ばれる峠道でも安心して走行が可能。
しかも、ガソリンかディーゼルかを問わず、エンジンは十分以上に力強いので、どんなシーンでも余裕のあるドライビングを楽しめる。
新型Sクラスでもう1点紹介しておきたいのが4輪操舵システム(4WS)の採用である。通常、ハンドルを切ると前輪のみが左右に向きを変えるが、新型Sクラスは後輪も電子制御で向きの調整が可能。このため、低速域では前輪と逆向きに操舵することで、まるでフォークリフトのように小回りが可能となるほか、高速域では前輪と同じ向きに操舵してコーナリング時の安定性を高めることが可能となる。
歴代Sクラスが率先して採用してきた先進安全運転支援システムもさらに充実。安全で快適な世界最高峰のラグジュアリーサルーンというSクラスのポジションはますます揺るぎないものになったといえるだろう。
今月の1台
MERCEDES-BENZ S 400 d 4MATIC(画像5枚)
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[MEN’S EX 2021年6月号DIGITAL Editionの記事を再構成]
(スタッフクレジットは本誌に記載)※表示価格は税込み