フランスの老舗タイ、ブリューワーの
魅力と人気の理由とは?

平澤 2019年にビームスチームと私でブリューワーの本社&アトリエを訪れましたが、素晴らしいロケーションでしたよね。南仏ニースに拠点を構えていて、リゾート地として有名なコート・ダジュールにもほど近い環境でした。
西口 そうですね。これまでイタリアを中心に、いろいろなアトリエを訪ねてきましたけれど、ブリューワーのアトリエは全く違う雰囲気を感じました。ものづくりはその土地の文化に根差すものですから、あの空気感がブリューワーの個性に大きく反映されているんだなと改めて実感しましたね。
四方 具体的に、どういうところが“ブリューワーらしさ”だと思いますか?
西口 イタリアブランドと同様に軽快感はあるのですが、やはり南仏らしいノーブルさというか、独特のエレガンスを感じますよね。海岸を見ても、ニースの地には真っ白い砂浜が広がっていて、海の色もイタリアとはひと味違う。そういう景色の差が、色出しひとつにも影響を与えていると思います。
平澤 ネクタイの基本色であるネイビーをとってみても、イタリアやイギリスの発色とはどこか印象が違いますよね。
西口 そうなんです。若干色みが明るめで、言葉では表しにくいのですがとてもフランス的ですよね。全体的に色彩が強すぎなくて、ノンシャランな印象を感じさせるんです。
四方 “ドヤ感”がないということですね(笑)
西口 まさしく。配色や柄表現も控えめで、飛ばしすぎないところが魅力ですね。

平澤 ブリューワーって、日本でもずっと前から展開されている印象がありますけど、ビームスさんではどれくらいの期間扱っているんですか?
西口 15年以上前からバイイングしていますね。コンスタントに好評をいただいていて、実際売り上げもいいんです。
平澤 15年以上! それはかなりのロングセラーですね。理由はどういったところにあるのでしょうか?
西口 個性を強く打ち出したブランドは爆発的にヒットすることもありますが、一方で好みが分かれることもありますよね。ブリューワーは万人に好かれるラインナップが魅力で、それゆえにアベレージが高いんです。総合力で評価されているブランドといえるでしょうね。
四方 確かに、打ち出しが強すぎないのでどれを選んでもスタイリングがしやすいんですよね。でもだからといって個性が薄いというわけでもなく、一見ベーシックだけどちょっとしたさじ加減が絶妙という印象です。
平澤 そうだね。今回フィーチャーしたストライプ柄にしても、控えめでありながら他にはない表情。
西口 ストライプってスクールっぽい雰囲気やトラッドなイメージが強くなりがちなのですが、ブリューワーが表現すると非常に都会的で、洗練された印象に映ります。この微差が醍醐味なんですよね。
平澤 ところで、締め心地に関してはどうでしょう?
四方 イタリアのネクタイと比べて、少し芯地が厚いように感じますね。なので、ノットやディンプルが立体的に作れるのが魅力だと思います。僕の場合、ブリューワーをスタイリングで使うときは少しキツめに結んで、ノットをコンパクトにしています。そうすると、ボリューム感のバランスがすごくいい感じになるんです。

平澤 なるほど勉強になります! ここ数年はフレンチテイストが大盛り上がりで、色々なフランスブランドが復権していますが、そんな中でブリューワーもますます人気が高まりそう。
引き続きM.E.でも注目していきたいですね。
